Augustus Pablo - Original Rockers (1979)
Augustus Pablo『Original Rockers』(1979)について
Augustus Pabloの『Original Rockers』は、1979年にUKのGreensleeves Recordsから出たアルバムで、同年の作品として位置づけられる一枚だ。レゲエ、とくにダブの文脈で語られることが多いが、この作品ではPabloの代名詞ともいえるメロディカの音色が前面に出ていて、彼の表現がどこにあるのかがかなり分かりやすい。ホレス・スウェイビーとして生まれ、Augustus Pablo名義で活動した彼は、メロディカをレゲエに定着させた人物として知られるが、このアルバムでもその役割がよく見える。
1970年代後半のジャマイカ音楽は、ルーツ・レゲエとダブが強く結びついていた時期で、Pabloはその中でも独特の位置にいた。単なる歌モノの伴奏ではなく、リズムの隙間、低音のうねり、残響の処理そのものを音楽として扱うタイプの制作で、同時代のKing Tubby周辺のダブとも近い空気を持ちながら、Pablo側にはもっと旋律が残る感じがある。『Original Rockers』は、その特徴をまとまった形で聞ける作品として見てよさそうだ。
作品の位置づけ
Augustus Pabloのキャリアの中では、70年代後半の充実期にあるアルバムのひとつ。彼は演奏者であると同時にプロデューサーでもあり、Rockersの名を冠した活動やレーベル運営も行っていた。そうした活動の延長線上にこの作品があるため、単独のアルバムというより、Pabloが築いていた音の世界をそのまま切り出したような性格が強い。タイトルの示す通り、彼の「ロッカーズ」感覚を確認するための基本盤という見方もしやすい。
Greensleeves RecordsからのUKリリースという点も重要だ。Greensleevesは1977年設立のUKレゲエ重要レーベルで、ジャマイカ本国の録音をイギリス市場に届ける役割を大きく担っていた。1979年という時点で、UKのレゲエファンがPabloの音像に触れる入口として、この盤はかなり自然な存在だったはずだ。
サウンドの印象
実際に耳にすると、まず低音の置き方が目立つ。ベースは前に出るが、押しつける感じではなく、空間を支える役割に徹している。ドラムは淡々としているのに、リバーブやディレイの残り方で曲の輪郭が変わって聞こえる。そこにメロディカが入ると、音数は多くないのにフレーズが残る。この「少ない音で場面を作る」やり方が、Pabloらしさだと思える。
また、ギターやオルガンの刻みが前面に出すぎず、全体としてはかなり整理された印象がある。ダブ作品にありがちな過剰なエフェクトで押すのではなく、各パートの役割が見えやすい。聴き進めると、演奏が派手というより、音の位置関係を楽しむアルバムだと分かる。ヘッドホンで聞くと、左右の広がりや残響の処理が追いやすいタイプでもある。
注目曲としての「Rockers」周辺
アルバム名にもなっている「Rockers」は、Pabloの代表的な感覚を端的に示す曲として扱われやすい。ロッカーズ・スタイルの推進力を持ちながら、単にリズムが走るだけではなく、メロディカの短いフレーズがリズムの上に置かれていく構成。タイトル曲らしく、この作品の中心にある美学をそのまま示しているように聞こえる。
この曲では、リズムの反復と旋律の差し込みが重要だ。派手な展開は少ないが、そのぶん一つひとつの音の入り方が分かりやすい。ダブ的な処理がかかる箇所では、音が消えるのではなく、空間に沈んでいくように感じられる。Pabloの作品を初めて追うなら、まずこのタイトル曲で彼の基本線をつかむことになりそうだ。
収録曲全体の流れ
『Original Rockers』は、1曲ごとの主張を強く競わせるというより、アルバム全体で同じ空気を保つ作りに近い。曲間で急に温度が変わる感じは少なく、一定の低重心のまま進んでいく。だからこそ、個々の曲の中で現れる小さな変化、ベースラインの動き、キーボードの入り方、エフェクトのかかり方が印象に残る。
同時代のルーツ・レゲエやダブの名盤と比べると、Pabloの作品は政治的メッセージを前景化するタイプというより、音そのものの設計に重心がある。King Tubbyのミックス作品のようなスタジオ・マジックとも近いが、Pabloの場合は旋律が消えにくい。そこがこのアルバムの聞きどころになっている。
まとめ
『Original Rockers』は、Augustus Pabloという人物の核にある「メロディカ」「ダブ」「低音の設計」を、1979年時点の形で確認できる作品だ。UKのGreensleevesから出たことで、当時のレゲエ・リスナーにとっても接点を持ちやすいアルバムだったと考えられる。派手さよりも、音の間合いと残響、そして旋律の置き方に耳が向く一枚。Pabloの名前が持つ重みを、そのままアルバム単位で感じられる内容と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 Rockers Dub
- A2 Up Warrika Hill
- A3 Cassava Piece
- A4 Tubby's Dub Song
- A5 Jah Dread
- B1 Brace A Boy
- B2 Thunder Clap
- B3 Park Lane Special
- B4 New Style
- B5 A P Special
動画
- Rockers Dub
- Up Wareika Hill
- Cassava Piece ('79 Style)
- Tubby's Dub Song
- Augustus Pablo - Jah Dread
- Brace A Boy
- Thunder Clap
- Park Lane Special
- New Style
- AP Special