Tom Tom Club - Tom Tom Club (1981)
Tom Tom Club 1981

Tom Tom Club - Tom Tom Club (1981)

Electronic Pop Synth-pop Disco Dub

Tom Tom Club『Tom Tom Club』(1981)

Tom Tom Clubのデビュー作『Tom Tom Club』は、Talking Headsのベーシスト、Tina WeymouthとドラマーのChris Frantzが立ち上げたサイド・プロジェクトを、そのまま本格的な作品へ押し上げたアルバムである。1981年にUSのSireからリリースされ、バンド名そのものを冠したタイトル作として登場した。Talking Headsの延長線上にありながら、よりリズムを前面に出し、ダブ、シンセ・ポップ、ディスコの要素を軽やかに混ぜた内容で、当時のニューウェイヴ周辺でも少し立ち位置の違う一枚になっている。

作品の成り立ち

録音とミックスはバハマのCompass Point Studiosで行われ、マスタリングはニューヨークのSterling Sound Studios。制作面では、当初予定されていたリー・“スクラッチ”・ペリーが参加しなかったことで、結果的にWeymouthとFrantz自身が中心となり、Steven Stanleyとともに仕上げたという経緯が知られている。Tom Tom Clubの公式サイトでも、このアルバムがバンドの出発点として語られている。Talking Headsの緊張感のある都市的なサウンドとは違い、こちらは打楽器の手触りや反復の気持ちよさが前に出た作りで、録音場所の空気も含めて、乾いた温度感と開放感が同居している印象がある。

収録曲と代表曲

この作品でまず外せないのが「Genius of Love」と「Wordy Rappinghood」だろう。特に「Genius of Love」は、のちにヒップホップやダンス・ミュージックの文脈で何度も参照される重要曲として知られる。実際、リズムの組み方、ベースの運び、声の置き方に、後年のサンプリング文化へつながる要素が見える。派手に押し切るのではなく、フレーズを積み重ねていく作りが印象に残る曲である。

「Wordy Rappinghood」もまた、このアルバムを代表する一曲で、言葉遊びの感覚とビートの反復が前に出る。ロックの演奏力を見せるというより、声とリズムの配置そのもので聴かせるタイプの楽曲で、当時のニューウェイヴの中でもかなり個性が立っている。全体としては、歌ものとしての分かりやすさと、クラブ的な反復の両方が同居している構成で、アルバム単位でも流れが途切れにくい。

同時代の中での位置づけ

1981年という時期を考えると、Tom Tom ClubはTalking Heads本体の周辺から生まれた作品でありながら、単なる余技には収まっていない。ニューウェイヴ、ポスト・ディスコ、ダブの交点に置くと輪郭が見えやすいが、実際にはそれぞれの要素をそのまま並べるのではなく、かなり整理された形で鳴らしている。Sireからのリリースという点でも、当時のNYCニューウェイヴの流れの中にしっかり位置している。

同時代のTalking Headsが知的でストイックな印象を持たれやすいのに対し、このアルバムは身体の動きに近いところへ寄っている。ファンク、ディスコ、ダブの手触りを持ちながら、ポップソングとしての輪郭も保っているため、ジャンルの棚に入れやすいのに、実際に聴くと意外と枠には収まりきらない。そのバランスが、この作品の面白さになっている。

評価と影響

当時の評価も良好で、アルバムはヒット作となり、1982年にはゴールド認定を受けている。「Wordy Rappinghood」は英国でヒットし、「Genius of Love」も米国でチャート入りした。特に「Genius of Love」は、その後のヒップホップやダンス・シーンに大きな影響を与えた曲として語られ続けている。後年のサンプリング文化を考えるうえでも、外せない一枚である。

この盤は1981年のUSオリジナル盤で、Sire SRK 3628。録音場所やクレジットを追うと、制作の中心がかなり明確で、バンドの初期像をそのまま閉じ込めたような内容になっている。Tom Tom Clubの入口としてだけでなく、80年代初頭のポップとダンスの接点を示す記録として見ても、かなり興味深い作品である。

トラックリスト

  1. A1 Wordy Rappinghood 6:27
  2. A2 Genius Of Love 5:34
  3. A3 Tom Tom Theme 1:25
  4. A4 L'Éléphant 4:50
  5. B1 As Above, So Below 5:23
  6. B2 Lorelei 5:05
  7. B3 On, On, On, On... 3:33
  8. B4 Booming And Zooming 4:32

動画プレイリスト

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