Metallica - Master Of Puppets (1986)
Metallica『Master Of Puppets』
Metallicaの3作目となる『Master Of Puppets』は、1986年3月3日にElektraから出たアルバムで、日本では『メタル・マスター』の名でも知られる。バンドにとってはメジャー・レーベル移籍後の作品であり、前作『Ride the Lightning』に続いて制作の中心にあったのは、James HetfieldとLars Ulrichの作曲の組み立て方だった。リフを並べては組み直し、曲の形にしていくやり方で、録音は1985年9月から12月にかけてデンマーク・コペンハーゲンのSweet Silence Studiosで行われている。Ulrichの母国デンマークを選んだのは、アメリカのスタジオの音響に満足できなかったからだという。UlrichはRushのGeddy Leeにプロデュースを依頼する話も進めていたが、スケジュールが合わず実現しなかった。
制作背景と録音の細部
プロデューサーはFlemming Rasmussen。Metallica自身との共同プロデュースで、エンジニアも Rasmussen が担当した。録音後のミックスは North Hollywood の Amigo Studios で Michael Wagener が手がけ、マスタリングは Sterling Sound の George Marino によるもの。曲作りでは、Hetfield と Ulrich が大半を書き、Kirk Hammett は録音を効率よく進めるために Joe Satriani から学んでいたとされ、のちに当時のバンドを「間違いなくピークにあった」と振り返っている。Cliff Burton はクラシックの素養と和声の理解でアレンジに関わり、インストゥルメンタルの「Orion」ではベースが前面に出ている。
表題曲「Master of Puppets」は、依存症を擬人化した語り手の視点で書かれた曲で、Hetfieldは「ほぼドラッグについての曲」と説明している。曲中には、Burton と Hammett が好んでいた David Bowie の「Andy Warhol」への引用も含まれる。録音時はテンポとチューニングを下げて進め、Rasmussen がテープ速度を上げて標準ピッチに合わせたという。ジャケットは Don Brautigam の絵で、墓地の白い十字架が糸で操られている構図。人々が知らぬ間に操られているというアルバムのテーマを表したものだと、Ulrichは語っている。
収録曲にまつわるエピソード
「Battery」のリフは、Hetfield がロンドンでくつろいでいたときに即興で生まれたもの。「The Thing That Should Not Be」は H.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話に着想を得ている。「Welcome Home (Sanitarium)」はケン・キージーの『カッコーの巣の上で』をもとに、不当に収容された患者の視点で書かれた。「Disposable Heroes」は上官に操られる若い兵士を描いた反戦歌で、「Leper Messiah」は1980年代のテレビ伝道師の偽善を批判した曲とされる。なお「Leper Messiah」については、Dave Mustaine が共作者だと主張したが、バンド側は一部のアイデアを使ったことのみを認めている。
時代の文脈
発売時、Metallica は先行シングルもビデオも出さず、ラジオでもほとんどかからなかった。それでもバンドは3月から8月まで Ozzy Osbourne の前座として全米ツアーを行い、同時期には酒量の多さから「Alcoholica」と呼ばれることもあった。ツアー中には Hetfield がスケートボード事故で手首を骨折し、いくつかの公演ではギター・テクニシャンのJohn Marshallがリズム・ギターを担当している。さらに1986年9月27日、ヨーロッパ・ツアー中のストックホルム公演後にツアー・バスがスウェーデンで横転し、寝台をカードで決めてHammettの寝台を選んでいたCliff Burtonが、窓から投げ出されて亡くなった。『Master of Puppets』は Burton 参加の最後のアルバムになった。
作品そのものは Billboard 200 で29位、72週チャートイン。発売から1年で約50万枚を売り、アメリカでは2025年に8×プラチナに認定された。Kerrang! は当時、このアルバムが「ついにMetallicaを、本来いるべきメジャー・リーグに押し上げた」と書いていた。Rolling StoneのTim Holmesは本作を「世界的なパラノイアの音」と評し、一方でRobert ChristgauはB−と辛口だった。
後世への影響
表題曲「Master of Puppets」は、Metallicaがライヴで最も多く演奏してきた曲として知られ、1985年12月31日のサンフランシスコ公演で初披露された。一方で「Orion」は本作中で最も演奏されていない曲とされる。2006年には発売20周年を記念して、Escape from the Studio '06 ツアーでアルバム全曲演奏も行われた。同じ年には、Kerrang!がMachine HeadやTriviumなどの参加したトリビュート盤『Master of Puppets: Remastered』を出している。2015年には、メタル作品として初めて米議会図書館のNational Recording Registryに選ばれている。
近年では、2022年のドラマ『ストレンジャー・シングス』シーズン4最終話で「Master of Puppets」が使われ、登場人物 Eddie Munson が裏側の世界で表題曲を弾いて怪物を引きつける場面が話題になった。バンドはこの場面に「圧倒された」と語っている。これを受けて曲は1986年以来のチャート再登場を果たし、Hot 100で35位、全英22位を記録している。さらに、Rolling Stone は2020年版の〈史上最高のアルバム500〉で97位、2017年版の〈史上最高のメタル・アルバム100〉で2位に挙げた。IGNも本作を史上最高のヘヴィ・メタル・アルバムに選んでいる。
トラックリスト
- A1 Battery 5:10
- A2 Master Of Puppets 8:38
- A3 The Thing That Should Not Be 6:32
- A4 Welcome Home (Sanitarium) 6:28
- B1 Disposable Heroes 8:14
- B2 Leper Messiah 5:38
- B3 Orion 8:12
- B4 Damage, Inc. 5:08
動画プレイリスト
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Metallica - Battery [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Master of Puppets [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - The Thing That Should Not Be [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Welcome Home (Sanitarium) [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Disposable Heroes [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Leper Messiah [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Orion [Original 1986 Studio Recording]
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Metallica - Damage, Inc. [Original 1986 Studio Recording]
このアーティストについて
Metallicaは、1981年にロサンゼルスで結成されたアメリカのヘヴィメタル・バンドだ。中心になったのはジェイムズ・ヘットフィールドとラーズ・ウルリ...
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