Neuronium - Quasar 2C361 (1977)
Neuronium 1977

Neuronium - Quasar 2C361 (1977)

Electronic Ambient

Neuronium『Quasar 2C361』(1977)について

スペインの電子音楽グループ、Neuroniumが1977年に発表したデビュー作が『Quasar 2C361』だ。バルセロナを拠点に活動していたMichel Huygen、Carlos Guirao、Albert Giménezの3人による初期ラインナップで制作され、録音は1977年11月、バルセロナで行われた。レーベルはHarvest、スペイン盤としてリリースされた作品で、NeuroniumにとってEMI-Harvestから出た最初のアルバムでもある。

Neuroniumは、後年のニューエイジ寄りの印象だけで語ると少し取りこぼしがある。少なくともこの『Quasar 2C361』では、よく知られる落ち着いたアンビエントの空気よりも、もっと初期の宇宙電子音楽らしい輪郭が前に出ている。公式バイオでも、スペインで録音された最初期のコズミック・ミュージック作品として位置づけられていて、当時のヨーロッパ電子音楽の流れのなかにきちんと置かれている。

短時間で仕上がったデビュー作

制作エピソードもこの作品の特徴だ。後年のインタビューでは、Huygen自身が「商業スタジオで1時間半、ミックス込みで録った」と語っていて、かなり限られた条件で完成したことがわかる。完成したテープをEMIのバルセロナ事務所へ持ち込むと、担当者は奇妙な音楽として受け止めたものの、24時間以内に契約と前金が提示されたという話も残っている。録音時点で、すでに強い個性が伝わる内容だったのだろう。

このアルバムのタイトル曲「Quasar 2C361」がそのまま代表曲として語られることが多い。派手なヒット曲というより、アルバム全体の核になる曲名として機能している。曲単体の有名さよりも、作品全体の文脈で記憶されている印象が強い。

同時代の電子音楽とのつながり

音の方向性は、当時のドイツ系シンセサイザー音楽と比較されやすい。Tangerine DreamやKlaus Schulzeの名が引き合いに出されることが多く、実際に聴いても、長いフレーズの反復、音の重なり、空間を広く使う構成が共通している。とはいえ、単なる模倣ではなく、スペインのバンドとして独自の手触りを持っている点が面白い。冷たい機械音だけで組み立てるというより、手元で音を積み上げていく感覚が残る。

当時のNeuroniumは、まだ現在のようにHuygen中心のプロジェクトとして固定される前の段階にある。ここでは3人編成のまとまりがそのまま作品の輪郭になっていて、後の展開を知っていると、出発点としての意味がはっきり見える。翌1978年には『Vuelo Quimico』へつながり、その後はメンバーの変化を経ながら、NeuroniumはHuygenの活動名として長く続いていく。

作品の位置づけ

『Quasar 2C361』は、派手なセールスやチャート成績で語られるタイプのアルバムではない。むしろ、スペインで早い時期に本格的な宇宙電子音楽を成立させた先駆的な記録として見たほうが、この作品の輪郭に近い。1977年という年に、バルセロナで、限られた時間と条件のなかでここまでのサウンドを作った事実自体が重要だ。

後のNeuroniumがアンビエントやニューエイジの文脈でも語られるのに対して、このデビュー作はもっと初期の電子音楽史に近い場所に立っている。Harvestから出たスペイン盤という点も含めて、70年代後半のヨーロッパ電子音楽の広がりを示す一枚として残る作品だ。

トラックリスト

  1. A Quasar 2C361 26:32
  2. B1 Catalepsia 8:34
  3. B2 El Valle De Rimac 5:15
  4. B3 Turo Park 4:22

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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