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Antonio Carlos E Jocafi(アントニオ・カルロス&ジョカフィ)は、1969年にブラジル北東部バイーア州サルヴァドールで結成されたシンガー・ソングライター・デュオだ。アントニオ・カルロス(Antônio Carlos Marques Pinto)とジョカフィ(José Carlos Figueiredo)の2人で構成され、ギター、カヴァキーニョ、バンジョーを自在に操りながら、1970年代のMPB(ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック)およびサンバ・ソウル・シーンの頂点を極めた。
彼らの音楽の揺るぎない基盤にあるのは、バイーア州サルヴァドールに色濃く息づくアフロ・ブラジリアン文化だ。カンドンブレの儀礼音楽、アフォシェーの打楽器リズム、伝統的なサンバ・ヂ・ホーダといった土着の祝祭的グルーヴを骨格に据えている。
そこに、当時隆盛を極めていたアメリカのソウルやファンク、さらには華麗でサイケデリックなストリングス・アレンジを融合させた。ブラジルの伝統的なルーツ音楽と、同時代のブラック・ミュージックのダイナミズムを融合させたそのスタイルは、「サンバ・ソウル」「サンバ・ファンク」の決定打としてシーンに鮮烈な衝撃を与えた。
1971年、第6回国際歌唱フェスティバル(FIC)で発表した「Você Abusou(ヴォセ・アブゾウ)」は、ブラジル全土で特大のヒットを記録し、彼らの名を一躍世界へと押し上げた。
この哀愁と跳ねるようなリズムが同居した名曲は、セルジオ・メンデス、エリス・レジーナ、セリア・クルース、フランキー・ヴァリら数々の一流アーティストに取り上げられた。さらにフランスではミシェル・フュガンが「Fais comme l'oiseau」としてカバーし国民的ヒットとなるなど、国境やジャンルを越えて歌い継がれる20世紀ポピュラー音楽の不朽のスタンダードとなった。
デビュー作『Mudei de Idéia』(1971年)に続き、名門RCA Victorから『Cada Segundo』(1972年)、『Definitivamente』(1974年)、『Ossos do Ofício』(1975年)と名盤を連発。「Simbaramô」「Quem Vem Lá」「Kabaluerê」といった楽曲は、強烈なパーカッションのうねりとホーン・セクションが炸裂する傑作として知られる。
1990年代以降、ジャイルス・ピーターソンら世界のクラブDJやレア・グルーヴのディガーによってこれらの楽曲がフロア・クラシックとして熱狂的に再発見された。バイーアの豊かな民族的アイデンティティを洗練されたポップ・ミュージックへと昇華させたその音楽性は、今なお世界中のダンスフロアと音楽愛好家を魅了し続けている。