Vinyl Record Reviews
ジョニー・ハモンド(Johnny Hammond、本名:John Robert Smith)は、ソウル・ジャズからジャズ・ファンク、フュージョンの領域を切り拓いたアメリカのジャズ・オルガン奏者/キーボード奏者/作曲家である。1933年12月16日にケンタッキー州ルイビルで生まれ、1997年6月4日に逝去。活動初期はギタリストのJohn SmithやオルガニストのJimmy Smithとの混同を避けるため「ジョニー・“ハモンド”・スミス」と名乗り、1971年にCTI/Kuduレーベルへ移籍した頃から「スミス」を外したJohnny Hammond名義を定着させた。
幼少期にクラシック・ピアノを学び、アート・テイタムやバド・パウエルの影響を受けたが、オハイオ州クリーブランドへ移住後、ワイルド・ビル・デイヴィスの演奏に衝撃を受けてハモンドB-3オルガンへ転向した。1958年に歌手ナンシー・ウィルソンの伴奏者としてプロ活動を本格化させ、1959年からは名門プレスティッジ・レコード(Prestige)で10年以上にわたり多数のソウル・ジャズ/ハード・バップ作品を録音した。
1970年代に入るとクリード・テイラー率いるCTIレコードおよび傘下のKuduへ移籍し、『Breakout』(1971年)や『Wild Horses Rock Steady』(1971年)でファンキーなジャズ・ファンク路線へ転換。さらに1974年にはスカイ・ハイ・プロダクションを率いるラリー&ファンス・マイゼル兄弟(Mizell Brothers)と邂逅し、エレクトリック・ピアノやシンセサイザーを導入した『Gambler's Life』を制作した。1975年にはマイルストーン・レコード(Milestone)に移籍し、マイゼル兄弟プロデュースのもとハーヴィー・メイソンやチャック・レイニーらを迎えた金字塔『Gears』を発表。続く『Forever Taurus』(1976年)や『Don't Look Any Further』(1977年)でも洗練を極めたフュージョン・ファンクを展開した。1987年以降はカリフォルニア州立ポリテクニック大学ポモナ校の音楽学科で後進の指導にあたった。
ジョニー・ハモンドの最大の武器は、ゴスペルやブルースのフィーリングに根差した強靭なハモンドB-3オルガンの演奏技術にある。70年代にはローズ・ピアノの甘美なコードワークやスペーシーなシンセサイザーのレイヤーを巧みに使い分け、重厚なグルーヴとスペーシーな浮遊感を両立させた。特にマイゼル兄弟との協働で生み出された「Shifting Gears」「Los Conquistadores Chocolatés」「Fantasy」といった楽曲群は、ジャズの高度な即興性とファンク/ダンス・ミュージックの機能美が高次元で結実している。
70年代当時は保守的なジャズ批評家から「ファンキーすぎる」と評されることもあったが、1980年代後半以降のアシッド・ジャズ/レア・グルーヴ・ムーヴメントにおいて劇的な再評価を獲得した。ラリー・レヴァンやデヴィッド・マンキューソらによって「Shifting Gears」や「Los Conquistadores Chocolatés」がパラダイス・ガラージ/ロフト・クラシックとしてヘヴィ・プレイされ、さらに1990年代以降のヒップホップ・シーンでは数多くのプロデューサーたちによって重要なサンプリング源としてサンプリングされ続けている。