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Franco Battiato(フランコ・バッティアート、1945–2021)は、イタリア・シチリア島出身のシンガーソングライター(カンタウトーレ)、作曲家、電子音楽家、映画監督、画家。実験的な電子音楽・現代音楽の先駆者から、イタリア音楽史上初となるミリオンセラーを達成した国民的スーパースターへと変貌を遂げた、同国ポピュラー音楽界屈指の天才であり孤高のカリスマである。
1960年代半ばより活動を始め、ミラノへ拠点を移した後にシングルを発表。1972年に伝説のオルタナティヴ・レーベル「Bla Bla」から発表したソロ・デビュー作『Fetus(邦題:胎児-新世界への啓示)』は、VCS3シンセサイザーを中心としたミニマルな音響処理と変則的な歌詞、複雑なアレンジで当時のイタリアン・プログレッシブ・ロック/電子音楽シーンに衝撃を与えた。続く『Pollution』(1972年)ではロック的なバンド編成を強め、イタリアのヒットチャート上位に食い込むなど異例の反響を呼んだ。
さらに3作目『Sulle Corde Di Aries』(1973年)や、英アイランド・レコードからもリリースされた4作目『Clic』(1974年)では、ミニマリズムや具体音コラージュを大胆に導入。『M.lle Le Gladiator』(1975年)以降はピアノやシンセサイザーによる長尺の演奏を軸とした現代音楽・アヴァンギャルド路線を徹底的に追求した。
1970年代末、ヴァイオリニスト/作曲家のジュスト・ピオ(Giusto Pio)との協働を経て、バッティアートはニューウェイヴやシンセポップの語法を取り入れた先鋭的なポピュラー路線へと劇的な舵を切る。1979年の『L'era del cinghiale bianco(白猪の時代)』で大成功を収めると、1981年には最高傑作『La voce del padrone(ご主人様の声)』を発表。「Centro di gravità permanente(永遠の重力中心)」や「Bandiera bianca」などのキラーチューンを連発し、イタリア国内のLP売上として史上初となる100万枚突破という歴史的快挙を成し遂げた。
バッティアートの真骨頂は、神秘主義、スーフィズム、東洋哲学、地中海文化などを横断する知的好奇心に満ちた歌詞世界と、誰もが口ずさめるキャッチーなメロディ、そして洗練を極めた室内楽/エレクトロニック・サウンドを高次元で共存させた点にある。難解な実験性と大衆的なポップネスを同じキャリアの中で完璧に結実させたその足跡は、イタリア音楽史における唯一無二の到達点として今なお熱狂的な敬意を集めている。