Vinyl Record Reviews
Grupo Síntesisは、1976年にハバナで結成されたキューバのバンドだ。初期はキューバ初のプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック・バンドとして活動を始め、その後はロック、ジャズ、キューバの伝統音楽を混ぜた独自のスタイルへと移っていった。
バンドの中心になったのは、ベース/ボーカルのCarlos Alfonsoと、ボーカル/キーボードのEle Valdésだ。もともとはボーカル四重唱グループTema IVの解散後に立ち上がったグループで、初期にはギタリストのMike PorcelやピアニストのJosé María Vitierも参加していた。
当時のキューバではロックが冷遇されていたが、Síntesisは楽曲の完成度と、キューバのルーツを取り込んだ作りで活動を続けたとされる。初期にはPink Floyd、Genesis、Yesといった英国プログレの影響が見え、1978年の『En busca de una nueva flor』では、複雑なキーボード・アレンジや長めの曲構成に、ヌエバ・トローバの詩的な要素を組み合わせていた。
Grupo Síntesisの特徴は、ロックの編成にキューバの伝統音楽やアフロ・キューバンの要素を入れている点だ。1980年代に入ると、サンテリアのヨルバ語の祈りの歌など、宗教音楽の要素をロックやジャズ・フュージョンのアレンジに取り込むようになった。
その流れを強く示す作品が、1987年の『Ancestros』だ。エレキ・ギター、シンセサイザー、ドラムマシンを使って伝統的な旋律を再解釈した作品として知られている。この路線は「Ancestros」三部作へとつながり、「Aguanileo」「Assokere」などが代表曲として挙げられている。
バンドは、ヌエバ・トローバの代表的歌手Silvio Rodríguezとの共演作『El hombre extraño』も残している。ロック、ジャズ、キューバ音楽の接点を探る活動の中で、こうしたコラボレーションも行ってきた。
メンバーには、Carlos Alfonso、Ele Valdésのほか、Lucia Huergo、Miguel Porcel、Esteban Puebla、Fidel Garcìa、Frank Padilla、Equis Alfonso、Raúl Pineda、Victor Navarrete、William Martínezらが名を連ねる。Carlos AlfonsoとEle Valdésの息子であるX AlfonsoとEme Alfonsoも、のちに歌手・作曲家として加わった。
X Alfonsoは1990年代初めに音楽学校を卒業後、キーボード、さらにパーカッションとボーカルを担当した。1998年からはソロ活動も始めている。家族を通じてバンドの世代がつながっている点も、Grupo Síntesisの特徴のひとつだ。
2022年には、『Ancestros』をシンフォニックに再構築した『Ancestros Sinfónico』でラテン・グラミー賞の最優秀フォークロア・アルバム賞を受賞した。長く続いてきたアフロ・キューバン由来の作品群が、あらためて評価された形だ。
さらに2026年1月には、ハバナのJazz Plaza Festivalへの出演を皮切りに、結成50周年の記念公演が行われている。
Grupo Síntesisは、キューバのロック史の中でかなり早い時期から活動しつつ、プログレ、ジャズ、伝統音楽をつないできたバンドだ。英米のロックをそのままなぞるのではなく、キューバの土台を入れたところにこのグループの個性がある。