Vinyl Record Reviews
Hipnosis(表記ゆれでHypnosisともクレジットされる)は、1980年代初頭にイタリア・パルマでステファノ・クンダリ(Stefano Cundari)が立ち上げた電子音楽プロジェクトだ。ジャンルはElectronicで、スタイルとしてはItalo-Disco、スペース・ディスコ、スペースシンセの系譜に入る。
ポール・シアーズ(Paul Sears)とウーゴ・ソレンギ(Ugo Solenghi)が参加し、1982年初めにはKirlian Cameraのアンジェロ・ベルガミーニ(Angelo Bergamini)も加わった。
クンダリは1982年にAnfrando Maiolaとコト(Koto)を結成し、1983年にはアレッサンドロ・ザンニとともにMemory Recordsを設立して、アート・プロデューサーを務めた。
Hipnosisを代表する曲としてよく挙がるのが、ヴァンゲリス「Pulstar」のカバーだ。クンダリの発案で制作され、編曲はKotoのAnfrando Maiolaが担当した。1983年にMemory Recordsから発表され、B面には「The End」が収録されている。
このシングルは西ドイツで10位、オーストリアで14位、スイスで19位を記録し、20万枚以上を売り上げたとされる。続いてジャン=ミシェル・ジャール「Oxygene」もカバーし、こちらも西ドイツで39位を記録している。
1984年にはシングル「Astrodance」(B面「Argonauts」)を発表し、同年にデビュー・アルバム『Hipnosis』もリリースした。HipnosisやKotoの作品は、イタロ・ディスコとスペース・ディスコをつないだ「スペースシンセ」の代表例として扱われることが多い。
その後、オリジナル・メンバーは順に離脱していく。ベルガミーニは新体制で作曲家・演奏者として残る話を断り、60公演のワールドツアーにも参加しなかった。ポール・シアーズはKirlian Cameraの新しい編成に正式加入している。
1987年には、クンダリがHipnosis名義で、ロマーノ・ムスマッラ(Romano Musumarra)とクラウディオ・ジッツィ(Claudio Gizzi)作の「Droid」(B面「Automatic Piano」)を発表したが、以前のような成功は得られなかった。
イタロ・ディスコの衰退とハウスの台頭でMemory Recordsは1989年に閉鎖された。クンダリはザンニとMCEレコードを立ち上げたが、1993年12月29日にがんで亡くなった。Memory Recordsの旧譜は現在ZYXミュージックが所有している。
1991年にはCDアンソロジー『Hypnosis』が発売された。1992年にはHumphrey RobertsonがZYX RecordsからHypnosis名義でシングルとアルバムを出している。使われたロゴがCDアンソロジーのものと同じだったため、レーベル側が別のミュージシャンで名義を再起動しようとしたものと見られる。
この系統の名義は1994年の12インチを最後に途絶えた。2006年にはベルガミーニがKirlian Cameraのアルバム『Coroner's Sun』収録曲「Kaczynski Code」をHipnosis Italy名義で録音している。
2016年にはZYXのコンピレーションで、オリジナルのHipnosis楽曲に加えてHumphrey Robertsonの曲や、カナダの別プロジェクトとみられるHypnosisの曲も混在して収録された。