Hipnosis - Hipnosis (1984)
Hipnosis『Hipnosis』(1984)
イタリアのプロジェクト、Hipnosisが1984年にMemory Recordsから出したデビュー・アルバム。タイトルはそのまま『Hipnosis』で、同年までに発表されていたシングル群をまとめた初期形の作品でもある。Memory Recordsのカタログ番号はMELP 001。
制作背景・エピソード
Hipnosisは、パルマでステファノ・クンダリが立ち上げたイタロ・ディスコ/スペースシンセのプロジェクトとして始まった。初期メンバーにはポール・シアーズ、ウーゴ・ソレンギがいて、1982年にはキルリアン・カメラのアンジェロ・ベルガミーニも参加している。クンダリは1983年、アレッサンドロ・ザンニとともにMemory Recordsを設立し、自身はアート・プロデューサーとしても関わった。
作品の出発点として大きいのが、ヴァンゲリス「Pulstar」のカバー。これはクンダリの発案で、編曲はKotoのアンフランド・マイオラが担当した。マイオラは前年の1982年にクンダリとKotoを組んでいた。「Pulstar」は1983年にシングルとして出て、B面は「The End」。西ドイツで10位、オーストリアで14位、スイスで19位を記録し、20万枚以上を売り上げたとされる。続いて同じ1983年には、ジャン=ミシェル・ジャール「Oxygene」もカバーし、こちらのB面は「Bormaz」。さらに1984年には「Astrodance」/「Argonauts」を発表し、その年にこのアルバムへとつながっていく。
アルバムには、これらのシングル曲がまとめて収録されている。作曲者クレジットにはA. マイオラやM. リモーニの名が見える。後年の再発では、1987年の「Droid」と「Automatic Piano」が加えられるが、1984年盤は9曲入りのオリジナル・アルバムとして扱われている。
時代の文脈
Memory Recordsは、インストゥルメンタル寄りのシンセサイザー作品を多く出したレーベルで、HipnosisのほかKoto、Cyber Peopleなどを抱えていた。レーベルにはKen Laszlo、Baby’s Gang、Mike Cannonらも所属し、Kotoの「Japanese War Game」もここから出ている。HipnosisとKotoの作品は、イタロ・ディスコとスペース・ディスコを合わせた「スペースシンセ」の代表例として挙げられることが多い。
しかし1987年ごろからイタロ・ディスコはヨーロッパで下火になり、ハウスの人気に押されてレーベルの経営は急速に悪化、1989年に閉鎖された。Hipnosisでも、その後オリジナル・メンバーが次々と抜け、ベルガミーニは新体制に作曲家・演奏者として残る話を断り、60公演のワールド・ツアーにも参加しなかった。一方でシアーズはキルリアン・カメラの新しい編成に正式に加わっている。1987年にはクンダリがHipnosis名義で「Droid」(B面「Automatic Piano」)を発表した。
後世への影響
その後、1991年には『Hypnosis』というCDアンソロジーが出ている。さらに1992年には、Humphrey RobertsonがZYX Recordsから同名義を使ったシングルとアルバムを発表し、1994年にも別の12インチが出た。これらは、CD盤のロゴを使っていたことから、レーベルがほかのミュージシャンでHipnosisを再起動しようとしたものと見られる。Memory Recordsの旧譜は現在ZYXミュージックが所有している。クンダリはザンニとともにテクノ・ハウスのレーベル、MCEレコードも立ち上げたが、1993年にクンダリが亡くなり、活動を終えた。
2006年には、アンジェロ・ベルガミーニがKirlian Cameraのアルバム『Coroner's Sun』収録曲「Kaczynski Code」をHipnosis Italy名義で録音している。2016年には、ZYXのコンピレーションでオリジナルのHipnosis曲とHumphrey Robertson版、さらに無関係とみられるカナダの別グループHypnosisの曲が混在する形でまとめられた。
なお、初期盤の表記には綴り違いが見られることがあり、「Bormaz」が「Borhaz」、「Oxygene」が「Oxigene」と記された版もある。
トラックリスト
- A1 Inesi 1:10
- A2 Windland 4:42
- A3 Argonauts 4:30
- A4 Pulstar 4:10
- A5 Borhaz 4:00
- B1 Astrodance 4:04
- B2 Space Crusaders 4:11
- B3 Oxigene 4:00
- B4 Theme For New Years 5:32