Vinyl Record Reviews
Funk Factoryは、ポーランドとアメリカの音楽家が集まったジャズ・ファンク/フュージョンのプロジェクトだ。中心にいたのは、バイオリン/サックス奏者のミハウ・ウルバニャクと、ボーカルのウルシュラ・ドゥジャク。1975年にAtcoからセルフタイトルのアルバムを1枚だけ発表している。
メンバー表記には、Urszula Dudziak、Michał Urbaniak、Trond Andersenの名前が挙がっているが、実際の録音には複数のミュージシャンが参加している。ポーランド側からはキーボードのヴウォデク・グルゴフスキ、ノヴィ・シンガーズの創設者で歌手のベルナルト・カフカが加わり、アメリカ勢としてアンソニー・ジャクソン、トニー・レヴィン、スティーヴ・ガッド、ジェラルド・ブラウン、バリー・フィナティ、ジョン・アバークロンビーらが名を連ねている。
Funk Factoryは、スタジオ・セッションを軸にしたプロジェクトとして語られることが多い。ブロガーのオリバー・アルディティは、バンドとして恒常的に活動していたわけではなく、スタジオでの制作が中心だったと書いている。
このレコードが作られた理由については、東欧のミュージシャンは「ファンキー」ではないというアメリカ側の見方に対する返答として、ウルバニャクが制作したという話が伝わっている。再発元のBe With Recordsは、この話を「伝説」として紹介している。
音の軸は、ジャズ・ファンクとフュージョンだ。そこにサイケデリックな要素やフリー・ファンク寄りの動きが入り、キーボードやシンセサイザーが前に出る場面が多い。ドゥジャクの幻想的な声は、その上を漂う。Wax Poeticsは「あのFunk Factoryはクレイジーだ!しかもレア盤だ!」と書いた。
アルディティは、この作品について、ソロを前面に出す作りではなく、ボーカル・アレンジとアンサンブルの書き込みが目立つと述べている。ウルバニャクが目立つソロイストとして振る舞うのではなく、全体の構成を組み立てる側に回っている点も、このアルバムの特徴として挙げられている。アルディティはまた、ユーモアと自嘲を含んだ精巧な作りも指摘している。
「Horsing Around」: ひねりのあるグルーヴがある曲として紹介されている。
「Next Please」: グルゴフスキのムーグ・ソロが取り上げられている。
「Rien Ne Va Plus」: のちにビースティ・ボーイズの「Car Thief」で大きくサンプリングされた。
1975年の発売当時、このアルバムは大きなヒットにはつながらなかった。その後、レア・グルーヴを掘るコレクターのあいだで評価が高まり、オリジナル盤は高値で取引されるようになった。
代表曲「Rien Ne Va Plus」は、ダスト・ブラザーズがプロデュースしたビースティ・ボーイズの『Paul's Boutique』収録曲「Car Thief」で大きくサンプリングされている。
アルバムは、イギリスのBe With Recordsによって正式ライセンスの180グラム盤として再発されている。