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Karat(カラット)は、1975年に旧東ドイツ(ドイツ民主共和国・GDR)の東ベルリンで結成されたプログレッシブ・ロック/ポップ・ロック・バンド。「オストロック(東ドイツ・ロック)」の最高峰グループとして知られ、冷戦下の東西分断期において「鉄のカーテン」を越え、東西両ドイツの双方で絶大な支持と商業的成功を収めた歴史的バンドである。
1975年、ヘニング・プロッツマン(ベース)やウルリッヒ・“エド”・スヴィルムス(キーボード)らを中心に結成。1977年にギタリストとして参加していたヘルベルト・ドライリッヒ(Herbert Dreilich)がリード・ヴォーカルに就任すると、そのハスキーで哀愁に満ちた歌声と詩的なリリックによってバンドは一気に東ドイツを代表する存在へと浮上した。
1978年に発表したバラード「Über sieben Brücken mußt du gehn(7つの橋を渡らねば)」は、東ドイツ国内のみならず西側にも瞬く間に伝播。1980年に西ドイツのスーパースターであるペーター・マッファイ(Peter Maffay)がカヴァーして西側でも大ヒットを記録したことで、分断下のドイツ全土を結ぶ国民的アンセムとなった。
1982年には冷戦下の核戦争の危機や環境破壊への警鐘をテーマに据えた大作アルバム『Der blaue Planet(青い地球)』を発表。西ドイツ国内でも約50万枚のセールスを記録してゴールド・ディスクを獲得し、東ドイツ出身のバンドとして史上初の快挙を成し遂げた。
2004年にフロントマンのヘルベルト・ドライリッヒが癌で逝去した後は、息子のクラウディウス・ドライリッヒ(Claudius Dreilich)がヴォーカルを継承。ベルント・レーマー(ギター)らとともに現在も第一線でステージに立ち続けている。
Karatのサウンドは、クラシックやシンフォニック・ロックの壮大な構築美と、哀愁を帯びたキャッチーなメロディ、そして深い思索に富んだドイツ語の詩情が見事に調和している。ウルリッヒ・“エド”・スヴィルムスのクラシカルなピアノ/キーボード・アレンジと、ベルント・レーマーの情熱的なギター・ソロ、そしてドライリッヒ父子のエモーショナルな歌唱がアンサンブルの中核を担う。
代表作には、名曲「Albatros」を収めた『Albatros』(1979年)、『Schwanenkönig』(1980年)、そして最高傑作として名高い『Der blaue Planet』(1982年)などが挙げられる。
Karatの音楽、とりわけ「Über sieben Brücken mußt du gehn」は、ベルリンの壁崩壊(1989年)以前から分断された人々の心を繋ぐ象徴的な架け橋として大きな歴史的役割を果たした。社会主義体制下の東欧ロックが政治的な障壁を越えて普遍的な共鳴を生み出したその功績は、ドイツ現代音楽史における不滅の金字塔として今なお深く敬愛されている。