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Kellee Patterson(ケリー・パターソン)は、アメリカ・インディアナ州ゲイリー出身のソウル/ジャズ・シンガー。16歳でプロとしてのキャリアをスタートさせ、1971年に黒人女性として史上初めて「ミス・インディアナ」に選出された。ミス・アメリカ・コンテストの舞台で披露した卓越した歌唱力で全米的な脚光を浴び、世界ツアーやシカゴのテレビ番組『Harambee』の司会を経て西海岸へと進出した。
彼女の才能を見出したのが、伝説的なインディペンデント・ジャズ・レーベル「Black Jazz Records」の共同創設者でありピアニストのジーン・ラッセル(Gene Russell)だった。1973年、ラッセルのプロデュースのもと、同レーベル唯一の女性ヴォーカル・アルバムとなるデビュー作『Maiden Voyage』を発表した。
本作では、ハービー・ハンコックのインストゥルメンタル名曲に歌詞をつけて歌った表題曲や「Magic Wand of Love」などを収録。スピリチュアル・ジャズの緊張感あるアンサンブルと、ディープ・ソウルの情感が見事に融合した名盤として高い評価を獲得した。
1976年には、ジーン・ラッセルとともにShadybrook Recordsへと拠点を移し、セカンド・アルバム『Kellee』を発表。バリー・ホワイトの「I'm Gonna Love You Just A Little More, Baby」をディープなファンクに仕立てたカヴァーや、「Mister Magic」「I Love Music」などの好演を収め、レアグルーヴ/フリーソウル・シーンにおける屈指の人気盤となった。
続く『Be Happy』(1977年)や『All The Things You Are』(1979年)では、ディスコや洗練されたモダン・ソウル/ダンサー路線を展開。どの時代においても、ジャズの確かなフレージングを土台にしたスマートな歌唱を聴かせている。
Kellee Pattersonの歌声は、凛とした透明感とスモーキーな艶を併せ持っているのが大きな魅力だ。派手な技巧に頼らず、楽曲のグルーヴやメロディの美しさを丁寧に引き出すヴォーカル・スタイルによって、ソウルやファンクのファンのみならず、ジャズ・ヴォーカルのリスナーからも厚い信頼を集めている。
ジャズ、ソウル、ファンク、ディスコを優雅に越境した彼女の作品群は、1970年代アメリカン・ブラック・ミュージックの奥深さを象徴する名盤として、現在も世界中で愛聴され続けている。