Vinyl Record Reviews
Lowrell Simon(ローレル・サイモン)は、1943年3月18日生まれ、2018年6月19日に逝去したアメリカ・シカゴ出身のソウル/ディスコ・シンガー、ソングライター。シカゴ・スウィート・ソウル屈指のグループ「ザ・ロスト・ジェネレーション」のフロントマンとして、またヒップホップ/レアグルーヴ界不滅のクラシック「Mellow Mellow Right On」の作者・歌唱者として音楽史に名を刻んでいる。
1960年代末、実弟フレッド・サイモンらとともにヴォーカル・グループ「ザ・ロスト・ジェネレーション(The Lost Generation)」を結成。名門ブランズウィック・レコーズから発表した「The Sly, Slick, and the Wicked」(1970年)が全米R&Bチャート14位のヒットを記録し、甘美なヴォーカル・ハーモニーと流麗なサウンドで一躍人気グループとなった。
Lowrellはこのグループでリード・ヴォーカルとソングライティングを担当。解散後はカータム・レコーズなどでソングライターとして活動し、数多くのアーティストへ楽曲を提供した。
1979年、ファースト・ネームのみの「Lowrell」名義で、西海岸のAVI Recordsから唯一のソロ・アルバム『Lowrell』を発表。ザ・シャイ・ライツの黄金期を築いたユージン・レコード、名作家ブルース・ホーズ、そして名匠トム・トム84(トーマス・ワシントン)がプロデュースとアレンジを担当した。
同作収録の「Mellow Mellow Right On」は、全米R&Bチャート32位、全英37位を記録。催眠的なベースライン、流麗なエレピ、そして耳元で囁くようなスポークン・ワードが一体となった究極のメロウ・グルーヴとして、現在もクラブ・クラシックの頂点に君臨している。
「Mellow Mellow Right On」は、マッシヴ・アタックの記念碑的デビュー作『Blue Lines』収録の「Lately」をはじめ、コモンの「Reminding Me (Of Sef)」、ジャネイ(Zhané)の「So Badd」、ジョイ・エンリケスの「Tell Me How You Feel」など、90年代以降のヒップホップ、グラウンド・ビート、R&Bで無数にサンプリングされた。残した作品数は多くないものの、シカゴ・ソウルの気品とメロウ・グルーヴの指標として時代を超えて愛され続けている。