Nick Cave & The Bad Seeds

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Nick Cave & The Bad Seeds

Nick Cave & The Bad Seedsとは

Nick Cave & The Bad Seedsは、1983年にオーストラリア・メルボルンで結成されたロック・バンドだ。前身はポストパンク・バンドのThe Birthday Partyで、解散後にNick Caveを中心として始動した。初期は「Nick Cave and the Cavemen」を名乗っていた時期もあり、1984年5月に現在のバンド名へ改名している。

結成当初からメンバーは固定ではなく、国際色豊かな演奏者が入れ替わりながら活動してきた。現在はNick Cave(ヴォーカル/ピアノ/オルガン)、Warren Ellis(ヴァイオリン/キーボード/各種楽器)、Martyn P. Casey(ベース)、Thomas Wydler(ドラムス)、Jim Sclavunos(パーカッション/ドラムス)、George Vjestica(ギター)らに加え、Larry Mullins(キーボード/ドラムス)、RadioheadのColin Greenwood(ベース)、Carly Paradis(キーボード)らが参加している。

結成の流れと初期の動き

前身バンドのThe Birthday Partyは、Nick Caveの書く曲とギタリストのRowland S. Howardが書く曲の方向性が相容れなくなったことや、メルボルンの寄宿学校時代からの盟友であるマルチ奏者のMick Harveyが脱退したことで、1983年8月に解散した。直後の1983年9月、ロンドンにてNick Cave、Mick Harvey(当初は主にドラムス)、ドイツの実験音楽バンドEinstürzende NeubautenのフロントマンであるBlixa Bargeld(ギター/ヴォーカル)、元MagazineのBarry Adamson(ベース)、Foetus名義で知られるJ.G. Thirlwellが集まり、Mute Recordsが承認したCaveのソロ企画『Man or Myth?』のバック・バンドとしてプロデューサーのFloodと録音を開始したのが出発点になる。

1983年12月31日にはメルボルンのセント・キルダにあるCrystal Ballroomで初ライヴを行い、その後はギタリストのHugo Raceや、長年のパートナーで一部楽曲の作詞にも関わったAnita Laneも加わる形で活動を進めた。バンド名はThe Birthday Party最後のEP『The Bad Seed』にちなんで1984年5月に「Nick Cave & The Bad Seeds」と改められ、同年6月にロンドンのTrident StudiosとThe Garden Studiosでの録音をもとにしたデビュー・アルバム『From Her to Eternity』をMute Recordsから発表した。

80年代: 西ベルリン移住と音楽性の変化

1985年には拠点を西ベルリンへ移し、2作目『The Firstborn Is Dead』を発表した。ここではアメリカ南部のブルースやゴシック・アメリカーナの要素が前に出ており、Elvis Presleyの誕生を題材にした「Tupelo」もこの時期の代表曲だ。

1986年にはスイス人ドラマーのThomas Wydler(元Die Haut)が加入し、Johnny CashやJohn Lee Hooker、Lead Bellyらの楽曲を取り上げたカバー集『Kicking Against the Pricks』、続いて4作目『Your Funeral... My Trial』を発表した。後者ではAdamsonの脱退とWydlerの負傷が重なったため、Mick Harveyが大半の楽器を演奏している。1987年にはヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン・天使の詩(Wings of Desire)』にバンドとして出演し、劇中でライヴ演奏を披露した。

1988年にはThe Gun ClubのギタリストであるKid Congo PowersとキーボードのRoland Wolfを迎え、5作目『Tender Prey』を発表した。死刑囚を描いたオープニング曲「The Mercy Seat」は高く評価され、のちに2000年にJohnny Cashがアルバム『American III: Solitary Man』でカバーしている。また1989年にはNick Cave初の小説『And the Ass Saw the Angel』が出版された。

90年代: ピアノ曲、ヒット曲、コンセプト作

『Tender Prey』のツアー終了後、Nick Caveは薬物リハビリを経てブラジルのサンパウロへ移住し、1990年の6作目『The Good Son』ではピアノ主体のバラードが増えた。Blixa Bargeldとのデュエット曲「The Weeping Song」や「The Ship Song」がその代表だ。続いて元The TriffidsのMartyn P. Casey(ベース)とConway Savage(ピアノ/オルガン)が加入し、Neil Youngとの仕事で知られるプロデューサーのDavid Briggsを迎えた1992年の7作目『Henry's Dream』では、再び荒々しいロック・サウンドに戻っている。

ロンドンへ戻って録音した1994年の8作目『Let Love In』からは「Red Right Hand」や、のちにMetallicaにカバーされた「Loverman」が生まれた。「Red Right Hand」は後に映画『スクリーム』シリーズやテレビドラマ『ピーキー・ブラインダーズ(Peaky Blinders)』のテーマ曲に使われ、広く知られるようになった。また同作のツアー中にはJim Sclavunosが加入し、インストゥルメンタル・トリオDirty Threeのヴァイオリニスト/マルチ奏者であるWarren Ellisもこの時期からバンドの録音に参加し始め、のちにCaveの最重要コラボレーターとなった。

1996年の9作目『Murder Ballads』は「殺人」をテーマにしたコンセプト作で、当時Caveと交際していたPJ Harveyとのデュエット曲「Henry Lee」や、Kylie Minogueとのデュエット曲「Where the Wild Roses Grow」を収録している。特に「Where the Wild Roses Grow」は全英11位・全豪2位のヒットとなり、ARIAミュージック・アワードで「Song of the Year」を含む3部門を受賞してバンド最大の商業的成功作となった。翌1997年の10作目『The Boatman's Call』では一転して編成を絞った内省的なピアノ・バラード集となり、Caveは2008年のインタビューで「あのレコードの半分を作っていたとき、恋愛面でひどく腹の立つ出来事があって怒り狂っていた。曲のいくつかはそこから直接生まれた」と振り返っている。

2000年代: 編成の変化と映画音楽

2001年の『No More Shall We Part』、2003年の『Nocturama』を経て、結成以来20年間在籍したBlixa BargeldがEinstürzende Neubautenに専念するため2003年に脱退した。その後はGallon DrunkのJames Johnstonが加わり、2004年には攻撃的なロック盤と聖歌隊を交えたバラード盤を対にした2枚組の13作目『Abattoir Blues / The Lyre of Orpheus』を発表している。

2005年からはNick CaveとWarren Ellisのコンビで映画音楽の仕事も本格化し、『プロポジション -血の誓約-(The Proposition)』(2005年)や『ジェシー・ジェームズの暗殺(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)』(2007年)などのスコアを手がけた。2006年にはCave、Ellis、Casey、Sclavunosの4人でガレージ・ロック・バンドのGrindermanも始動させ、2枚のアルバム(2007年、2010年)を発表している。また2007年10月にCaveがARIA殿堂入りを果たした際には、受賞スピーチで「なぜバッド・シーズがここにいないのか理解できない」と述べ、The Bad SeedsとThe Birthday Partyのメンバー全員を自ら殿堂入りさせた。2008年の14作目『Dig, Lazarus, Dig!!!』のあと、2009年1月にはMick Harveyが25年間の在籍を経て脱退し、寄宿学校時代から36年続いたCaveとの共同作業に区切りがついたことで、Caveが唯一のオリジナル・メンバーとなった。

2010年代以降: アンビエント色の強い三部作と現在

Mick Harveyの脱退後はWarren Ellisとの共同制作が中核となり、Barry Adamsonが一時復帰しギタリストのGeorge Vjesticaが加わった15作目『Push the Sky Away』(2013年)、録音中にCaveの15歳の息子アーサーを事故で亡くす悲劇の中で完成しアンドリュー・ドミニク監督のドキュメンタリー映画『One More Time with Feeling』とともに公開された16作目『Skeleton Tree』(2016年)、2枚組の17作目『Ghosteen』(2019年)という、シンセサイザーのループやアンビエント色を強めた三部作を発表した。

2015年からはツアー・メンバーとしてLarry Mullins(Toby Dammit)が参加し、2018年9月にConway Savage、2021年3月にAnita Laneが死去。2024年8月にはRadioheadのColin GreenwoodやCarly Paradisも参加した通算18作目のスタジオ・アルバム『Wild God』を発表している。

ジャンル・スタイル

Rock Blues Rock New Wave
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