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Roy C. Hammond(ロイ・C・ハモンド、1939年8月3日 - 2020年9月16日)は、アメリカ・ジョージア州ニューイントン出身のソウル・シンガー、ソングライター、音楽プロデューサー。ソロ名義「ロイ・C(Roy C)」として知られ、1960年代のヒット曲「Shotgun Wedding」や、ヒップホップ史上最もサンプリングされた伝説的プロテスト・ファンク「Impeach the President」の生みの親としてブラック・ミュージック史に不滅の足跡を残した。
1956年にニューヨークへ移住したハモンドは、1950年代後半にドゥーワップ/ヴォーカル・グループのザ・ジーニーズ(The Genies)を結成し、リード・ヴォーカルとして活動。「Who's That Knocking」(1958年)を全米チャートに送り込むヒットを記録した。その後、米空軍での兵役を経て音楽活動を再開した。
兵役後の1965年、ハモンドは「Roy C」名義でソロ・シングル「Shotgun Wedding」を発表。コミカルな語り口のイントロと独特のファルセット・ヴォーカルを活かしたノベルティ・ソウルとして大ヒットし、全米R&Bチャート14位、全英シングル・チャートでも6位を記録した。1972年の英国再発時にも再びトップ10入りを果たすなど、彼の代名詞的ナンバーとなった。
1970年代初頭、ハモンドは大手レーベルに頼らない独自の表現を求め、インディペンデント・レーベル「Alaga Records」を設立した。そこでニューヨーク・クイーンズの高校生ファンク・バンドであったザ・ハニー・ドリッパーズ(The Honey Drippers)を発掘し、1973年にリチャード・ニクソン大統領を批判するプロテスト・ソング「Impeach the President」を作詞・プロデュースした。
ウォーターゲート事件に揺れる時代を鋭く捉えたこの曲は、発表から10数年後、ヒップホップ黎明期のDJやプロデューサーたちによって再発見されることとなる。イントロの乾いたドラム・ブレイクは、マーリー・マール制作のMC Shan「The Bridge」をはじめ、Audio Two「Top Billin'」、エリックB.&ラキム、LLクールJ、ノトーリアス・B.I.G.など無数のヒップホップ・クラシックで引用され、ヒップホップ・サウンドの骨格を決定づけた究極の定番ブレイクビーツとなった。
ハモンド自身の歌唱は、ブルージーな語り口調(トーキング・スタイル)と甘美なファルセットを行き来するエモーショナルな表現が真骨頂であった。1970年代にはメジャーのMercuryから『Sex and Soul』(1973年)や『More Sex and Soul』(1977年)といった傑作アルバムを発表し、濃厚なサザン/ディープ・ソウルの世界を構築した。
1980年代後半にはサウスカロライナ州へ移住し、自身の新レーベル「Three Gem Records」を立ち上げて作品をリリースし続けた。流行に左右されることなく、一貫して独立独歩の姿勢を貫き、自らのルーツである泥臭いソウル・ミュージックを生涯愛し続けた名匠である。