Vinyl Record Reviews
Billy Oceanは、トリニダード・トバゴ出身のシンガーで、本名はレスリー・セバスチャン・チャールズ。1950年1月21日生まれ。10歳のときにイングランドのエセックス州ロムフォードへ移住し、ロンドンではサヴィル・ロウで仕立て職人として働きながら、ナイトクラブで歌っていた。70年代前半はLes Charles名義で活動し、70年代半ばにBilly Oceanの名前を使うようになった。
1976年の「Love Really Hurts Without You」は全英2位、全米22位のヒットになった。続く1977年の「Red Light Spells Danger」も全英2位を記録している。ここでまず、英国のチャートで強い存在感を示した。
キャリアの中心は1984年から1988年にかけてで、この時期に国際的な成功を重ねた。1984年の「Caribbean Queen」はBillboard Hot 100で1位を獲得し、1985年のグラミー賞では最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンスを受賞している。さらに「There'll Be Sad Songs (To Make You Cry)」や「Get Outta My Dreams, Get into My Car」でも全米1位を記録した。「When the Going Gets Tough, the Tough Get Going」は映画『ナイルの宝石』の主題歌として知られ、全英1位になっている。
Billy Oceanの音楽は、ソウルを土台にしながら、シンセ・ポップやダンス・ポップの要素を取り入れている。プロフィール情報では、Electronic、Pop、Funk / Soulに分類されており、スタイルとしてはDance-pop、Synth-pop、Soul、Ballad、Contemporary R&Bが挙がっている。
実際のヒット曲を追うと、80年代のMTV時代に合うシンセ主体のアレンジと、R&B寄りの歌唱が前面に出ている。カリブ出身のシンガーとして、Grace Jonesと並んでMTVに受け入れられた初期の例として扱われることが多い。映像メディアの広がりと相性のいいポップ/R&Bを作っていた点が、当時の成功につながっている。
芸名の由来については、ロンドン・ステップニーのオーシャン団地に由来するという話がよくある一方で、本人はこれを否定し、トリニダードの地元にあったサッカーチーム「Oceans 11」から取ったと語っている。こうした背景もあって、名前の由来には英国とカリブの両方の土地が重なって見える。
2011年にはポール・マッカートニーからリヴァプール・インスティテュート・フォー・パフォーミング・アーツのコンパニオン称号を授与された。2020年の新年叙勲では、音楽への貢献によりMBEを受勲している。こうした受賞歴からも、80年代のヒットだけでなく、長く活動が評価されてきたことが分かる。