Vinyl Record Reviews
Under Milkwoodは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ出身のサイケデリック・ロック・バンドだ。メンバーはRobert Michalsky、Stephen Mallory、Mike Lewthorne、Alphonse Barnet、Clara Miles、David Turner Jr.、John Thornamの7人で知られている。
活動の細かな記録は多く残っていないが、唯一のアルバム『Under Milkwood』は1969年から1970年代初頭にかけて録音されたとされる。録音はA&M Recordsのために行われたという情報があり、少数のプロモ盤が流通した可能性はあるものの、正式発売には至らなかった。
この作品が注目される理由は、当時未発表のまま長く眠っていた点にある。後年、ベルギーのFannyレーベルから1993年に500枚限定・手書きナンバー入りLPとして登場し、その後はイタリアのAkarma RecordsからLPとCDで再発された。サイケデリック・ロックの掘り出し物として扱われることが多い。
発売が見送られた理由については、同時期に「Milkwood」という別グループが存在したことが関連していた可能性がある、という話が流通している。ただし、はっきりした記録は見当たらない。
Under Milkwoodの音は、エレクトリックな曲と、フォーキーで流れのある曲に分かれていると紹介されることが多い。サンフランシスコのサイケデリック・ロックらしく、ギターが前に出る場面と、アコースティック寄りの静かな場面がはっきりしている。
オープニングの「Empty Room」では、2本のギターが競り合うように鳴る構成が印象的だとされる。インストゥルメンタルの「Ballad of the Spirit World」ではサックスが前面に出る。こうした編成からも、単純なギター・バンドというより、複数の音色を使って曲ごとの色を分ける作りが見えてくる。
女性ヴォーカルのClara Milesは、特にアコースティックな曲で存在感がある。紹介文ではグレイス・スリックを思わせると評されており、サンフランシスコの同時代サウンドとのつながりも感じやすい。
ただし、Under Milkwoodの魅力はヴォーカルだけに寄っているわけではない。サックス、ツインギター、アコースティックな曲の並びがアルバム全体の印象を作っている。
Under Milkwoodは、派手な活動歴で語られるバンドではない。むしろ、録音されたまま長く表に出なかったアルバムが、後になってサイケデリック・ロックの発掘音源として注目されたところに特徴がある。
音の面では、サンフランシスコのシーンに近いギター主体の感触と、フォーク寄りの曲づくりが同居している。アルバム1枚で印象を残すタイプのバンドとしてチェックしておきたい。