Vinyl Record Reviews
Fjodorは、クロアチアの首都ザグレブを拠点に活動するインストゥルメンタル・バンドだ。ジャンルとしてはロックに分類されるが、実際の音はサイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック、スペース・ロック、ハード・ロックの要素を含んでいる。
2005年にギターのIvan BeucとドラムスのAljoša Reljićが結成し、2006年にベースのMirko Golubićが加入した。その後はキーボードやヴァイオリンを加えた編成も経て、近年はシンセサイザーのDušan Žicaを含む4人編成で活動している。
Fjodorの作品は、アルバムごとに構成の長さや展開の作り方がはっきりしている。
特にSt. Anthony's Fireは、A面・B面それぞれ20分を超える2曲で構成された46分のコンセプチュアルなインストゥルメンタル作品として知られている。もともとは46分の1曲としてマスタリングされたという情報があり、曲の長さと構成を重視した制作だったことがうかがえる。
Fjodorのサウンドは、バルカン半島やオリエンタルなルーツ音楽の要素を含むサイケデリック/スペース・ロックが軸になっている。そこにエレクトロニクス、クラウトロック、ジャズの影響が加わっている。
演奏面では、サイケデリックなリフとシンセサイザーの音が前に出る場面が多く、リズムの推進力もはっきりしている。インストゥルメンタル編成のため、歌ではなく楽器の組み合わせで曲を進めていく形だ。
St. Anthony's Fireは、Fjodorの作品の中でもよく取り上げられるアルバムだ。サイケデリックなリフとスペーシーなシンセが組み合わさった内容で、レビューでは「ステロイドを打ったピンク・フロイド」と表現されたことがある。
レビューでは、楽曲構成と音響の両面で大きな飛躍を遂げた作品として、バンドのタイトな演奏とともに評価されている。
長い展開のあるインストゥルメンタル・ロックが好きな人、サイケデリック・ロックやスペース・ロックを軸にしたバンドを探している人には、Fjodorはチェックしやすい存在だ。特に、東欧圏の空気感や、ロックに電子音やジャズの要素が混ざる音が気になるなら、入りやすいと思う。