Anri = 杏里 - Heaven Beach = ヘブン・ビーチ (1982)
杏里『Heaven Beach』について
『Heaven Beach』は、杏里の4作目のオリジナル・アルバムとして1982年11月21日にフォーライフ・レコードから発売された作品。前年の『哀しみの孔雀』とは方向を変え、軽快なポップス寄りの内容でまとめられている。作編曲面では、デビュー作から杏里の作品を手がけてきた瀬尾一三が全曲の編曲を担当し、アルバム全体の骨格を作っている。
制作背景と参加者
楽曲面では、当時まだ駆け出しだった角松敏生が「二番目のaffair」「Last Summer Whisper」「Fly By Day」で作詞・作曲を担当し、小林武史は「Resolution」「Flash Back Memories」を手がけている。さらに、ブレッド&バターの岩沢幸矢が「Honesty Man」の作曲で参加。杏里自身も「Lonely Driving」「Memorial Story」、そして6分を超える表題曲「Heaven Beach」を作曲している。
演奏には今剛、松原正樹のギター、高水健司のベース、山田秀俊のキーボードなどが参加したとされる。「Fly By Day」はこのアルバムと同日にシングルとしても発売され、B面は「Memorial Story」だった。早い時期のプレスには、For Life Recordsのスタジャンが当たる告知を載せた、少し異なる帯が使われていたという。
当時の位置づけ
杏里は1978年に「オリビアを聴きながら」でデビューしたあと、しばらくは大きなセールスに結びつかなかったが、1982年には小林武史作曲の「思いきりアメリカン」がヒットした。その流れの中で出たのが『Heaven Beach』。夏や海のイメージが強まっていく時期の作品として置かれている。
翌1983年には、杏里がまだ無名だった角松敏生にアルバム『Bi・Ki・Ni』の5曲を任せ、続く『Timely!!』では角松がフル・プロデュースを担当してオリコン1位を記録する。同年には「CAT'S EYE」「悲しみがとまらない」が連続ヒットし、紅白歌合戦にも初出場した。そうした流れを見ると、『Heaven Beach』は角松との本格的なコラボレーションへつながる前段の作品として並べられる。
後世での扱い
2010年代後半以降の海外でのシティポップ・ブームの中で、杏里は再評価され、「シティ・ポップのクイーン」と呼ばれるようになった。なかでも本作収録の「Last Summer Whisper」は、アメリカやアジアを中心としたブームの中で特に人気の高い曲のひとつとして挙げられている。
オリジナル盤は流通量が少なく入手しにくかったこともあり、2023年7月には『Bi・Ki・Ni』『Timely!!』『COOOL』と並んでアナログ盤で再発された。発売当時のオリコン成績は最高89位、チャートイン3週。数字としては大きくないが、のちの再評価の中で触れられることの多いアルバムになっている。
ひとこと
『Heaven Beach』は、杏里の1982年の動きと、翌年以降の展開をつなぐ位置にある1枚。「Fly By Day」や「Last Summer Whisper」、表題曲「Heaven Beach」など、後年まで名前が残る曲を含みながら、当時の制作陣や発売形態の細部まで追える作品でもある。
トラックリスト
- A1 二番目のaffair
- A2 Last Summer Whisper
- A3 Lonely Driving
- A4 Resolution
- A5 Fly By Day
- B1 Flash Back Memories
- B2 Honesty Man
- B3 Memorial Story
- B4 夏に背を向けて
- B5 Heaven Beach
動画プレイリスト
このアーティストについて
Anri(杏里)は、1961年に神奈川県大和市で生まれた日本のシンガーソングライターだ。ジャンルはElectronic、Pop、Funk / Soulにまたがり、スタイルと...
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