Vinyl Record Reviews
八神純子(Junko Yagami、1958年1月5日生まれ)は、愛知県名古屋市出身のシンガー・ソングライターだ。圧倒的な声量とどこまでも澄み渡るクリスタルなハイトーン・ボイス、そして洋楽直系の洗練されたソングライティングで、1970年代末から1980年代のニューミュージックおよびシティ・ポップ・シーンを牽引したトップ・アーティストである。
高校在学中に第8回ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)および世界歌謡祭で優秀賞を獲得して脚光を浴びた。1978年にシングル「思い出は美しすぎて」でプロデビューを果たすと、同年発表した「みずいろの雨」がドラマティックなストリングス・アレンジと圧倒的なハイトーン・ボーカルによって空前の大ヒットを記録し、一躍トップシンガーの仲間入りを果たした。
続いて「想い出のスクリーン」「ポーラー・スター」(ともに1979年)、そしてレイ・パーカー・ジュニアの楽曲をモチーフに都会的で洗練されたAORサウンドを確立した「パープルタウン 〜You Oughta Know By Now〜」(1980年、オリコンチャート1位)など、時代を彩る名曲を次々と世に送り出した。
アルバム制作においても『思い出は美しすぎて』(1978年)、『素顔の私』(1979年)、『Mr.メトロポリス』(1980年)といった名盤を相次いで発表し、歌謡曲と洋楽的グルーヴが高い次元で融合した音楽世界を築き上げた。
特に1985年にアルファ・レコード移籍後に発表されたアルバム『COMMUNICATION』は、彼女のキャリアにおける最大の音楽的転換点となった。編曲に鷺巣詩郎らを迎え、生楽器中心のアンサンブルから最先端のエレクトロ・ブギー、シンセ・ファンク、ニュー・ウェイヴへと大胆にシフト。表題曲「COMMUNICATION」や「ジョハナスバーグ」は、近年の世界的なシティ・ポップ/フューチャー・ファンク・ブームにおいて最高峰のブギー・クラシックとして世界各地のクラブDJやディガーから熱狂的な再評価を獲得している。
イギリス出身の音楽プロデューサーであるジョン・スタンレー(John Stanley)との結婚を機に渡米し、ロサンゼルスを拠点に国際的な視野で活動を展開した。日本とアメリカを行き来しながら現在も第一線で精力的なライブ活動を続けている。
伸びやかで強靭なハイトーンと、AOR、ディスコ、ソウル、シンセポップを自在に横断した洗練のサウンドは、単なる当時のヒット曲の枠を越え、日本のポピュラー音楽/シティ・ポップ史に燦然たる光を放ち続けている。