Célia - Célia (1972)
Célia 1972

Célia - Célia (1972)

Funk / Soul Latin Soul Bossa Nova MPB

Célia『Célia』(1972)について

ブラジルの歌手セリアが1972年に発表したセルフタイトル作。レーベルはContinental、規格番号はSLP-10.070。MPB、ソウル、ボサノヴァの要素を軸にした一枚で、70年代初頭のブラジル音楽らしい、歌とアレンジの両方がきっちり組み上がった作品として知られている。アルトゥール・ヴェロカイが全12曲のアレンジと指揮を担当している点も大きい。

セリアという歌手の立ち位置

セリアはサンパウロ出身のブラジル人歌手で、1947年9月8日生まれ。テレビ番組『Um Instante, Maestro!』への出演をきっかけに注目を集め、エリス・レジーナ以降の時代を担う女性歌手の一人として存在感を強めた。クイズ番組『Qual É a Música?』で4週連続優勝したという経歴もあり、国内での知名度を広げたあと、イタリア、フランス、モナコでも活動している。代表曲としては「Onde Estão os Tamborins」がよく挙げられ、7万枚以上を売り上げた曲として記録されている。

このアルバムは、そうした活動の流れの中で出た重要作に当たる。ソロ歌手としての輪郭をはっきり示しつつ、当時のブラジル音楽の洗練された編曲文化の中にしっかり置かれた作品だ。

アルトゥール・ヴェロカイとの関係

本作を語るうえで外せないのがアルトゥール・ヴェロカイ。彼はこのアルバムで全曲のアレンジと指揮を担当している。ヴェロカイはブラジル音楽史の中でも、ストリングスやホーンを含む立体的な編曲で知られる人物で、セリアとの仕事は本作だけではない。同じ1972年に発表されたヴェロカイ自身の名盤『Arthur Verocai』では、セリアが「Seriado」でヴォーカル参加している。両者は互いの作品に関わりながら、同時代の音楽を形づくっていた関係にある。

このアルバムでは、その相互作用がかなりはっきり出ている。歌が前に出る場面でも、編曲が単なる伴奏で終わらず、楽曲の輪郭を細かく作っていく。歌手の表現とアレンジの設計が分離していない作り。

収録曲の見どころ

ハイライトとしてよく挙げられるのが「Na Boca Do Sol」。この曲はヴェロカイとヴィトール・マルチンスの共作で、ヴェロカイ自身のアルバムにも収録されている。曲名が示す通り、明るさや熱量を感じさせる題材だが、実際にはリズム、和声、歌の入り方が細かく組まれていて、単純な盛り上がりだけで押し切らない。

ほかにも、ホベルト/エラズモ・カルロス、ヴィニシウス・ヂ・モライス/トム・ジョビン、ゼー・ホドリッキス、パウロ・セルジオ/マルコス・ヴァーリらの楽曲が並ぶ。ブラジル音楽の中核にいる作家たちの曲を、セリアがどのように歌い分けるかも聴きどころになっている。作家性の強い曲が並びながら、アルバム全体はヴェロカイの統一感でまとまっている印象。

サウンドの特徴

この盤は、ソウルの推進力とボサノヴァ由来の柔らかさが同居している。リズムは前に出るが、音数で押しつぶすタイプではない。管弦の配置、コーラスの入り方、歌のフレージングが細かく整理されていて、70年代ブラジルの洗練されたスタジオ作品らしい手触りがある。セリアの歌は、力任せではなく、言葉の置き方で曲の輪郭を作るタイプ。そこにヴェロカイの編曲が乗ることで、曲ごとの表情がかなりはっきり見える。

同時代のブラジル音楽を思い浮かべると、エリス・レジーナ、マルコス・ヴァーリ、エドゥ・ロボ、そしてヴェロカイ周辺の作品群が近い場所にある。ただし、このアルバムは誰かの模倣というより、セリアの声を中心に据えた固有の作りになっている。女性シンガーの存在感と、アレンジャー主導の緻密な構成が両立した一枚。

オリジナル盤と再発盤

オリジナル盤は長く入手困難な希少盤として扱われ、再発前には高額で取引されることもあった。のちに2018年にMr Bongo、2022年にブラジルのTrês Selosから再発が出ている。オリジナルの1972年盤はContinentalからのブラジル盤で、当時の空気をそのまま閉じ込めた初出。一方の再発盤は、こうした作品を現代のリスナーが追いやすくした流通面での意味が大きい。

まとめ

『Célia』は、セリアという歌手の存在感と、アルトゥール・ヴェロカイの編曲美学が重なった1972年のブラジル作品。代表曲「Na Boca Do Sol」を含み、MPB、ソウル、ボサノヴァの要素が、当時のブラジル音楽らしい密度でまとまっている。セリアのキャリアの中でも、そして70年代ブラジル女性歌手の系譜の中でも、位置づけがはっきりしたアルバム。

トラックリスト

  1. A1 A Hora É Essa
  2. A2 Toda Quarta-Feira Depois Do Amor
  3. A3 Dominus Tecum
  4. A4 Ay Adelita
  5. A5 Vida De Artista
  6. A6 Mia
  7. B1 Na Boca Do Sol
  8. B2 Em Família
  9. B3 Detalhes
  10. B4 É Preciso Dizer Adeus
  11. B5 Dez Bilhões De Neurônios
  12. B6 Badalação (Bahia, Volume 2)

動画プレイリスト

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "MPB"

toast