Gomrath - Gomrath (2024)
Gomrath『Gomrath』
英国の学生バンド、Gomrathが1971年ごろに録音した未発表音源をまとめ、2024年にBright CarvingsがLP化した作品。オリジナル録音は7インチのアセテート、キングス・カレッジ・スクールのLP、個人所有のスタジオテープなどから掘り起こされ、227枚限定の発売となった。タイトルと同じ『Gomrath』として出たこの盤は、半世紀前の記録をそのまま手元に置ける形にした再発見盤でもある。
制作背景と録音の経緯
きっかけになったのは、キングス・カレッジ・スクールのポップ・コンサートで録音された「Better By You, Better Than Me」のライブ音源だった。そこから関係者や資料をたどる形で、Gomrathの音源が集められていったという。収録曲のうち「The Hebrides」と「Spare Time」はキングストンのEden Studiosで録音され、その他の曲は自宅の居間や友人宅で録られた。機材にはTEACの4トラックや2トラックのSonyテープ機が使われ、曲作りはギター中心で進めたあと、Vox Continentalオルガンが加えられたと伝えられている。
バンド名はアラン・ガーナーの小説『The Moon of Gomrath』に由来し、ジャケットにも同書の表紙画が使われている。録音の出自も装丁も、学校バンドの記録と私的なテープ文化がそのまま残ったような内容で、完成された商業盤とは別の手触りがある。
時代の文脈
メンバーの回想では、当時の出発点にはThe BeatlesやThe Rolling Stonesがあり、その後にCream、Caravan、Jethro Tull、The Doors、Traffic、Hendrix、Led Zeppelinなどが続いたという。ギターが最重要楽器として扱われていたことも語られている。Gomrathは、サイケデリック末期から初期プログレへ移る時期の空気の中に置かれている。
本人たちは、レコード収集や同世代のバンド文化の中で育ち、大きな商業展開を狙うよりも、練習とライブのために音楽を作っていたとされる。そうした背景から、この音源はプロの制作現場よりも、学校や仲間内の環境で音を組み立てていたバンドの記録として読める。今回のLP化は、1971年当時の未発表録音が2024年に初めてまとまった形で出た、という点に意味がある。
聴きどころとして語られている点
紹介記事では、「Spare Time」がガレージ色の強いサイケデリックな曲として触れられ、D.R. Hookerを思わせるヴォーカル感、渦巻くオルガン、歪んだギターが聴きどころとして挙げられている。Bright Carvings側の案内では、英国サイケ〜プログレの“失われた秘宝”として扱われ、特に「Spare Time」はThe Open Mindの「Magic Potion」に比肩すると評された。
また、当時の録音については、新しい機材に触れた興奮がそのまま音に出た、とメンバーが語っている。スタジオ録音と自宅録音が混在しながら、ギター中心の曲作りと後から加わるオルガンでまとまっている点が、この作品の骨格になっている。
商業的な数字やチャート実績は確認されていないが、2024年盤は227枚限定のLPとして出されている。Gomrathにとっては、1971年の断片が一つの作品としてまとまり直した、かなり特異なリリースになっている。
トラックリスト
- A1 Spare Time
- A2 Telephone Song
- A3 Collage
- A4 Hebrides
- B1 Better By You Better Than Me
- B2 Louisiana Gatepost
- B3 Home In The Rain
- B4 You Jumped In The River To Avoid The Fish
- B5 Spare Time (Slight Return)