The Greatest Show On Earth - Horizons (1970)
The Greatest Show On Earth『Horizons』について
The Greatest Show On Earthの『Horizons』は、1970年に英国で発表されたデビュー・アルバムである。レーベルはHarvestからのオリジナル盤が知られ、今回の盤は80年代の再発盤としてEMIから出ている。バンドは、ホーンを前面に出したロック・コンボを目指して企画された経緯を持ち、英国ロックの中でもブラスを軸にした編成がはっきりしたグループとして位置づけられる。音の核はギター、オルガン、サックス、トランペットの組み合わせで、ブルース・ロック、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロックの要素が一枚の中で行き来する構成になっている。
作品の立ち位置
この作品は、当時の英国ロックがソウル、ジャズ、サイケデリア、プログレッシブ・ロックを吸収していた流れの中にある。The Greatest Show On Earthは、Blood, Sweat And TearsやChicagoのようなブラス・ロックの発想を英国側で試みた存在として見られることが多い。とはいえ単純な模倣ではなく、Harvest周辺の空気をまとった、より硬質で、演奏の圧を重視したアルバムという印象が残る。バンドとしてはこのデビュー作が最初のまとまった成果であり、のちの短い活動期間を考えると、最も重要な記録のひとつといえる。
録音と制作
録音はロンドンのAbbey Roadで行われ、セッション日は1969年10月6日、7日、8日、13日、14日、15日と記録されている。クレジット上でもEMIのスタジオ制作物らしい管理の行き届いた作りが見える。内ジャケットにはOriginal colour printing by Mark-Harvey Studiosの表記があり、当時の英国LPらしいゲートフォールド仕様も含めて、作品全体を一枚のパッケージとして見せる意識が強い。レーベル面では、1970年オリジナル録音であることが示され、今回の80年代再発盤ではEMIブランドで流通している。
サウンドの特徴
実際にこの盤を聴くと、まずホーン・セクションの押し出しが目立つ。サックスやトランペットが単なる色付けではなく、曲の推進力そのものになっている。そこにオルガンとギターが絡み、リズム隊が厚みを支えるため、楽曲はコンパクトにまとまっていても、演奏の層はかなり多い。ブルース由来のフレーズが土台にありつつ、展開のさせ方にはプログレッシブ・ロック的な構成感もある。サイケデリック・ロックの時代感も残っていて、1970年という年をよく表す音像である。
タイトル曲「Horizons」と「Angelina」は、このアルバムを語るうえで外しにくい曲として挙げられることが多い。どちらもホーンの使い方が印象に残る楽曲で、メロディを前に出しながらも、演奏の密度で聴かせるタイプである。派手なヒット曲というより、アルバム単位で耳に残る曲作りが中心で、その点も当時の英国ロックらしい。
バンドの背景とその後
The Greatest Show On Earthは、もともと1968年にソウル・バンドとして結成され、その後に編成や方向性を変えながらこのデビュー作へ至ったとされる。メンバーにはColin Jennings、Norman Watt-Roy、Garth Watt-Roy、Dick Hanson、Mike Deaconらが並ぶ。後年を見れば、Norman Watt-RoyやGarth Watt-Royといった名前は別のバンドやセッションで知られることになり、このグループが演奏力の高いミュージシャンを抱えていたことがうかがえる。バンド自体は長く続いたタイプではないが、作品はその短い活動の中で残された重要な記録として扱われている。
再発盤としての見え方
今回の盤は80年代の再発で、オリジナルのHarvest盤とはレーベル表記が異なる。オリジナルの1970年盤はHarvest SHVL 769として知られ、こちらはEMIの管理下で再流通した版になる。ジャケットや収録内容の基本線はオリジナルを踏襲しつつ、盤としては後年の再発市場で手に取りやすい形に整えられたものといえる。EMIのカタログ番号EMS 2600001が付くことで、英国プレスの再発盤としての位置づけも明確である。
まとめ
『Horizons』は、英国のブラス・ロックを軸にしながら、ブルース・ロック、サイケデリック・ロック、初期プログレの要素を一枚に収めたアルバムである。大きな商業的成功よりも、演奏の密度と編成の個性で記憶される作品といってよさそうだ。Harvest周辺の1970年前後の空気、Abbey Road録音という背景、そしてホーンを前面に出したバンドの設計が、そのまま音に反映されている。後年の再発盤であっても、この作品が持つ時代の輪郭は十分に伝わってくる。
トラックリスト
- A1 Sunflower Morning 4:59
- A2 Angelina 4:07
- A3 Skylight Man 4:34
- A4 Day Of The Lady 4:12
- A5 Real Cool World 4:52
- B1 I Fought For Love 4:26
- B2 Horizons 14:01
- B3 Again & Again 4:02