Mac Miller - Swimming (2018)
Mac Miller『Swimming』
Mac Millerの『Swimming』は、2018年8月3日にワーナー・ブラザースから出た通算5作目のスタジオ・アルバム。米ピッツバーグ出身のラッパー/プロデューサーが、自身の内面と過酷な試練に深く向き合い、自己治癒の心の旅路を刻んだ魂の傑作だ。発売後まもなく、2018年9月7日に26歳で急逝したため、生前最後のアルバムとしても位置づけられている。
制作背景・エピソード
制作面では、映画音楽家として知られるジョン・ブライオンを共同プロデューサーに迎えている点が大きい。生楽器を軸にした編成で、ストリングスやフェンダー・ローズを使った音作りが前面に出ている。参加者には、ベースでサンダーキャット、ギターでジョン・メイヤー、制作面でJ.コール、さらにスヌープ・ドッグやシド(The Internet)といった名前が並ぶ。
収録曲では、「What's the Use?」でサンダーキャットのベースが曲を引っ張り、「Small Worlds」ではジョン・メイヤーがギターを担当。「Hurt Feelings」にはJ.コールがプロデュースで参加している。アルバム発売直後に出演したNPR『Tiny Desk Concert』での生演奏は、彼の卓越したミュージシャンシップと音楽への純粋な愛を刻んだ歴史的名演として今も語り継がれている。
時代の文脈
2010年代末のヒップホップではトラップが強い存在感を持っていたが、『Swimming』はその流れの中で、ジャズ、ネオ・ソウル、ファンク、アコースティック・ポップを横断する作りになっている。Mac Miller自身も、ラップだけでなく鍵盤を弾き、歌う表現を広げていた時期で、この作品ではその方向性がはっきり出ている。
内容面では、メンタルヘルスや傷心、依存症との格闘、私生活の破局といった痛切なテーマに向き合いながらも、自己否定に沈み込まずに「水面から顔を出して泳ぎ続ける(Swimming)」再生への願いを描いた。代表曲「Self Care」は2部構成で、混沌から自己再生へと向かう強い意志を音像そのもので表現。「Come Back To Earth」の静かな入り口から、「2009」で自身のキャリアや原点を振り返る流れまで、アルバム全体がひとつの記録として組まれている。
評価・受け止められ方
洗練されたモダン・ブギー「What's the Use?」から、痛切な美しさを湛えた名曲「2009」まで、感情の機微を捉えた豊かな音楽性は批評筋からも絶賛を浴びた。全米ビルボード200では初登場3位を記録し、第61回グラミー賞では自身初となる最優秀ラップ・アルバム賞にノミネートされた。2018年秋には、Urban Outfitters限定のホワイト・ヴァイナル仕様も2,000枚限定で出ている。
レコードとしての特徴
今回のUS盤は2018年のワーナー盤で、通常仕様のジャケットを使いながら、盤面は白い素材でプレスされた限定版。マトリクス刻印はワーナー盤と同一で、レーベル違いというよりはカラーヴァイナルの特別仕様として扱われる。
トラックリスト
- A1 Come Back To Earth 2:42
- A2 Hurt Feelings 4:06
- A3 What’s The Use? 4:49
- A4 Perfecto 3:35
- B1 Self Care 5:45
- B2 Wings 4:10
- B3 Ladders 4:47
- C1 Small Worlds 4:32
- C2 Conversation, Pt. 1 3:30
- C3 Dunno 3:57
- D1 Jet Fuel 5:45
- D2 2009 5:48
- D3 So It Goes 5:13
動画プレイリスト
このアーティストについて
マック・ミラー(Mac Miller、本名:Malcolm James McCormick)は、2010年代のアメリカン・ヒップホップ/ポピュラー音楽シーンを代表するラッパー、...
Mac Miller のプロフィール・作品一覧