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マック・ミラー(Mac Miller、本名:Malcolm James McCormick)は、2010年代のアメリカン・ヒップホップ/ポピュラー音楽シーンを代表するラッパー、シンガーソングライター、プロデューサー。1992年1月19日にペンシルベニア州ピッツバーグで生まれ、2018年9月7日に26歳の若さで逝去した。ピアノ、ギター、ベース、ドラムを独学で習得した卓越したミュージシャンシップを持ち、軽快なパーティ・ラップから内省的なジャズ・ラップ、生演奏主体のネオソウルへと進化を遂げた表現者である。
10代半ばからラップを始め、地元のインディペンデント・レーベル「ロストラム・レコーズ(Rostrum Records)」と契約。ミックステープ『K.I.D.S.』(2010年)や『Best Day Ever』(2011年)で爆発的な人気を獲得し、2011年にリリースされたデビュー・スタジオ・アルバム『Blue Slide Park』は、インディペンデント流通のデビュー作として1995年のスヌープ・ドッグ(Tha Dogg Pound)以来16年ぶりとなる米ビルボード200初登場1位を記録する歴史的快挙を達成した。
初期の「フラットラップ(パーティー・ラップ)」のレッテルを破るべく、ロサンゼルスに拠点を移した彼は、自宅スタジオ「ザ・サンクチュアリ」にアール・スウェットシャツらオッド・フューチャーの面々やヴィンス・ステイプルズらを迎え、実験的でダークな音像を探求。2013年のセカンド・アルバム『Watching Movies with the Sound Off』で芸術的な転換点を迎えた。さらに別名義「ラリー・フィッシャーマン(Larry Fisherman)」として自身の作品や仲間のプロデュースを精力的に手がけ、ジャズ・カルテット編成のEP『You』(Larry Lovestein & The Velvet Revival名義)を制作するなど、ジャズやソウルへの造詣を急速に深めていった。
ワーナー・ブラザース・レコードへ移籍後、『GO:OD AM』(2015年)、アンダーソン・パークやアリアナ・グランデを迎えた愛とファンクの讃歌『The Divine Feminine』(2016年)を発表。そして2018年8月、自らのメンタルヘルスや中毒との葛藤に向き合い、名匠ジョン・ブライオン、サンダーキャット、J.コールらとともに生演奏とメロウなグルーヴを極限まで磨き上げた最高傑作『Swimming』をリリースした。
同作リリースからわずか1か月後、不慮の事故により急逝。死後にグラミー賞最優秀ラップ・アルバム賞にノミネートされた。2020年にはジョン・ブライオンが完成させた対となる遺作アルバム『Circles』が発表され、世界中で絶賛を浴びた。デジタル・トラップが全盛を極めた2010年代において、オーガニックな生音のグルーヴと人間味あふれる脆弱性を誠実に歌い続けた唯一無二のアーティストとして、現在も世界中のリスナーやミュージシャンから深く敬愛されている。