Siouxsie And The Banshees - Join Hands (1979)
Siouxsie & The Banshees 1979

Siouxsie And The Banshees - Join Hands (1979)

Rock Goth Rock

Siouxsie And The Banshees『Join Hands』について

Siouxsie And The Bansheesの『Join Hands』は、1979年に発表された2作目のスタジオ・アルバムだ。前作で提示したバンドの輪郭を、そのままなぞるのではなく、より硬質で緊張感のある方向へ押し進めた作品として知られている。1979年という時期は、パンクの熱量がそのまま次の表現へ移り変わっていくタイミングでもあり、このアルバムもその流れの中で位置づけやすい。初期ポストパンクの空気を強くまといながら、のちにゴシック・ロックと呼ばれる感触へ近づいていく一枚、という見方がしやすい。

この作品は、Siouxsie Siouxの歌と表現、Steven Severinのベース、John McKayのギター、Kenny Morrisのドラムという初期4人編成の個性がはっきり出た記録でもある。録音はロンドンのAir Studiosで行われ、Mike StavrouとNils Stevensonがプロデュースを担当している。バンドの初期を語るうえで外せないアルバムであり、後年のより洗練されたサウンドに比べると、演奏の切迫感や不安定さが前面に出ている。

日本盤について

ここで取り上げるのは日本盤のPolydorリリースで、カタログ番号はMPF1267。Polydorのロゴや品番体系から見ても、1979年当時の国内流通盤としての性格がはっきりしている。オリジナルの作品年と盤の年が同じなので、内容面では初出時の空気をそのまま受け取れる盤といえる。日本盤ならではの付加情報としては、国内で手に取りやすい形でこの作品が紹介された点が重要だろう。

アルバム全体の印象

『Join Hands』を聴くと、曲ごとの起伏よりも、全体に張りつめた流れが印象に残る。ベースは前へ出すぎず、しかし常に不穏な重さを保ち、ギターはメロディをなぞるというより、音の輪郭を引っかくように響く。Siouxsieのボーカルは感情を大きく誇張するのではなく、言葉の置き方で圧をかけていくタイプで、ここでもその持ち味がよく出ている。パンクの直線的な勢いだけではなく、空間の使い方や沈黙の置き方にまで意識が向いている感じがある。

同時代のバンドでいえば、Public Image Ltd.やJoy Divisionのように、パンク以後の表現を探っていた流れの中で語りやすい。とはいえ、このアルバムは冷え切った無機質さだけで押す作品ではなく、儀式めいたまとまりや、演奏の切迫した生々しさが同居している。のちのゴシック・ロックの文脈で参照されやすいのも、その二面性ゆえだろう。

注目曲:「Poppy Day」

「Poppy Day」は、このアルバムの中でも特に背景のある曲だ。歌詞はジョン・マクレーの「In Flanders Fields」の最初の2連をもとにしており、戦争と記憶をめぐる視点が前面に出る。Siouxsie And The Bansheesの初期作品には、単なる反抗や退廃ではなく、歴史や社会の影を引き受ける姿勢が見えるが、この曲はその傾向をわかりやすく示している。

音の面では、感情を大きく揺らすというより、静かな圧力をかけるタイプの構成だ。メロディが耳に残るというより、言葉と演奏の間にある緊張感が残る。アルバムの中でも、バンドが単なる荒いロック・バンドではないことを示す一曲として重要だろう。

注目曲:「The Lords Prayer」

「The Lords Prayer」は、タイトル通り宗教的な言葉を手がかりにしながら、複数の楽曲やフレーズを引用していく構成が特徴だ。ボブ・ディランの「Knockin' On Heaven's Door」、Dillingerの「Cocaine In My Brain」、さらには「Tomorrow Belongs To Me」など、異なる文脈の断片が重ねられている。こうした引用の混在は、当時のバンドが言葉の意味だけでなく、文化的な記憶そのものを素材にしていたことを示している。

演奏面では、リズムの進行とボーカルの置き方が重要で、単純なロック曲としては収まらない。初期Siouxsie And The Bansheesらしい、冷たさと切迫感の同居がよく出ている曲だ。アルバムの中で見ると、作品全体の緊張を支える中核の一つと言ってよさそうだ。

作品の位置づけ

『Join Hands』は、Siouxsie And The Bansheesが後により広いリスナー層へ届く前の、初期の尖った姿をよく残したアルバムだ。1979年という年の中でも、パンクの余熱だけでなく、その先にある音楽的な方向性を探っている点が見えやすい。John McKayとKenny Morrisを含む編成の記録としても重要で、この時期ならではの緊張したアンサンブルがそのまま刻まれている。

代表曲級の大きなヒットで押す作品ではないが、Siouxsie And The Bansheesというバンドの出発点と、その後の展開をつなぐ中継点としてはかなり意味がある。初期ポストパンクやゴシック・ロックの文脈をたどるとき、避けて通りにくい一枚だろう。

トラックリスト

  1. A1 Poppy Day 2:01
  2. A2 Regal Zone 3:46
  3. A3 Placebo Effect 4:38
  4. A4 Icon 5:27
  5. A5 Premature Burial 5:58
  6. B1 Playground Twist 3:00
  7. B2 Mother/Oh Mein Papa 3:24
  8. B3 The Lords Prayer 14:10

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