The Sisters Of Mercy - Floodland (1987)
The Sisters Of Mercy 1987

The Sisters Of Mercy - Floodland (1987)

Electronic Rock Goth Rock

The Sisters Of Mercy『Floodland』について

The Sisters Of Mercyの『Floodland』は、1987年に発表された2作目のアルバムである。前作『First and Last and Always』の後、バンドは大きく形を変え、この作品ではAndrew Eldritchを中心に据えた制作体制が前面に出ている。ダークな空気感と、リズムマシンを軸にした硬質な鳴り、そしてシンセサイザーの比重が増した点が、この時期のSisters Of Mercyをはっきり示す内容になっている。

オリジナル盤は1987年11月のリリースで、UKアルバムチャートでは7位を記録している。シングルも複数ヒットしており、「This Corrosion」はUKで7位、「Dominion / Mother Russia」は13位、「Lucretia My Reflection」は20位まで上がった。アルバム単位での存在感と、シングル曲の広がりの両方を持った作品と言える。

作品の位置づけ

『Floodland』は、Sisters Of Mercyの中でも大きく印象を残す一枚である。バンド名義はAndrew EldritchとPatricia Morrisonの体裁だが、収録曲はEldritchが単独で書いている。Morrisonはスリーブ表記の中心にはいないものの、この時期のバンド像を支えた人物として重要な存在とされている。

前作がバンドとしての骨格を示したアルバムだとすると、『Floodland』はその後に残った要素をさらに拡張した内容に近い。ギター主体のロックというより、重いビートとキーボードが曲の輪郭を作る場面が多く、80年代後半のゴシック・ロックやダークなオルタナティブ・サウンドの中でも、かなり目立つ立ち位置にある。

代表曲とアルバムの特徴

いちばん知られているのは「This Corrosion」だろう。10分を超える長さのフル・ヴァージョンは、合唱的なコーラスと大きな音像が印象に残る曲で、Sisters Of Mercyの代表曲として語られることが多い。続く「Dominion / Mother Russia」も、重心の低いビートとシンセの使い方がはっきりした楽曲で、この時期のバンドの方向性を示している。

「Lucretia My Reflection」も重要な一曲で、ベースの反復と機械的な推進力が前に出る。アルバム全体でも、こうした反復の強さが曲の印象を作っている。歌メロの派手さより、リズムの積み重ねと音の層で押していくタイプの作品である。

歌詞とイメージ

The Sisters Of Mercyの特徴として、文学的な参照や宗教的な語感、終末感のある言葉選びが挙げられるが、『Floodland』でもその傾向ははっきりしている。バンドの黒い袖や大きな残響のある音作りは、この作品でもそのまま続いている。ゴシック・ロックと呼ばれることの多いバンドだが、本人たちはその呼び名を受け入れてきたわけではない。

この盤について

2013年のUS盤は、Mobile Fidelity Sound Lab(MOFI 1-021)からの再発である。Mobile Fidelity Sound Labはオーディオファイル向けの再発で知られるレーベルで、元の録音を丁寧にリマスターして出すことで知られている。この盤もそうした流れの中にある1枚で、オリジナルの1987年盤とは発売時期が異なる。

『Floodland』はもともと、CD版とアナログ版で内容が少し違う作品としても知られている。CDでは「This Corrosion」と「Driven Like The Snow」にフル・ヴァージョンが収録され、CDによってはシングルB面の「Torch」と「Colours」がボーナストラックとして加わることがある。一方で、バンド側の発言では、これらは本来アルバムから外される想定だったともされている。

アナログ盤では曲の尺やミックスが異なり、たとえば「This Corrosion」は途中でフェードし、「Driven Like The Snow」も別ミックスになっている。こうした違いは、『Floodland』を聴くうえで意外に大きいポイントである。

同時代の文脈

1987年という時期を考えると、『Floodland』はUKの暗いロック、ポスト・パンク以降の流れ、そしてシンセを取り込んだゴシック・サウンドの交差点にある。The CureやSiouxsie and the Bansheesのような同時代のバンドと並べて語られることもあるが、Sisters Of Mercyはより機械的で、曲の土台が重く、反復の圧で押していく印象が強い。

結果として『Floodland』は、バンドの中期を代表するだけでなく、80年代後半のダークなロックの輪郭を示すアルバムとしても見られている。ヒット曲の存在、音の作りの変化、そしてバンド編成の特異さが、1枚の中にまとまっている作品である。

トラックリスト

  1. A1 Dominion / Mother Russia 7:47
  2. A2 Flood I 6:19
  3. A3 Lucretia My Reflection 4:54
  4. A4 1959 4:07
  5. B1 This Corrosion 11:09
  6. B2 Flood II 6:44
  7. B3 Driven Like The Snow 6:24
  8. B4 Never Land (A Fragment) 2:45

動画

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