Bauhaus - The Sky's Gone Out (1982)
Bauhaus『The Sky's Gone Out』について
Bauhausの『The Sky's Gone Out』は、1982年にUKのBeggars Banquetから発表された3作目のスタジオ・アルバム。ピーター・マーフィーの歌唱、ダニエル・アッシュのギター、ケヴィン・ハスキンスのドラム、デヴィッド・J・ハスキンスのベースという4人編成で作られた作品で、バンドの初期を代表する1枚としてよく挙げられる。Bauhausは1978年にノーザンプトンで結成されたイングリッシュ・ポストパンク・バンドで、後のゴス・ロックの流れを語るうえでも外せない存在だ。
このアルバムは、初期の切迫した空気を保ちながら、曲ごとの振れ幅を少し広げた印象がある。暗い質感を前面に出しつつも、単純に陰鬱さだけで押し切る感じではなく、カバー曲や再録音曲、実験的な配置が混ざっていて、作品全体の組み立てに変化がある。Bauhausがこの時期にどこへ向かおうとしていたのか、その途中経過がそのまま刻まれたようなアルバムという見方ができる。
チャート上の位置づけと当時の反応
『The Sky's Gone Out』はUKアルバム・チャートで最高4位を記録し、6週間チャートインした。Bauhausにとって最も商業的に成功したアルバムとされ、バンドの知名度を一段押し上げた作品でもある。アンダーグラウンド寄りのイメージが強いグループだけに、この成績はかなり大きい。ポストパンクやゴス・ロックの文脈の中でも、Bauhausが単なるカルト・バンドではなく、当時の英国ロックの中で確かな存在感を持っていたことを示す数字だと思う。
発売時期は1982年10月。UKのポストパンク周辺では、Siouxsie and the Banshees、The Cure、Joy Divisionの流れを受けた各種のバンドが、それぞれ独自の暗さや音響を更新していた時期でもある。その中でBauhausは、演劇的なボーカル、空間の使い方、鋭いギターの切り込み方で、かなり独特の立ち位置にいた。単純な同系統比較で片づけにくいが、後のゴス・ロックの基礎を整えたバンドのひとつとして語られるのは自然だろう。
収録内容の特徴
冒頭の「Third Uncle」は、Brian Enoの曲のカバー。アルバムの入口にこの曲を置いたことで、Bauhausがただ自作曲を並べるのではなく、外部の素材を自分たちの色で取り込む姿勢をはっきり示している。原曲の持つ緊張感が、Bauhausの演奏では別の鋭さに変換される。ここはアルバム全体の方向性を示す導入として機能している。
また、「Spirit」はバンドが1982年のアルバム用に録り直した曲として知られる。こうした再録音の存在は、この時期のBauhausが楽曲を固定された完成形として扱っていなかったことをうかがわせる。音の輪郭や構成の違いを追うと、初期Bauhausの制作がかなり試行錯誤を含んでいたことが見えてくる。
代表曲としては「Ziggy Stardust」がまず挙がる。David Bowieの曲のカバーだが、単なる敬意表明ではなく、Bauhausが持つ不穏さと舞台性を前に出した演奏になっている。後年この曲が彼らの代表的な一曲として広く知られるようになったのは、Bauhausの輪郭を一気に伝える力があるからだろう。原曲の知名度もあるが、Bauhaus版の強い印象が作品の顔になっている。
制作と盤の情報
オリジナル盤はUK盤で、Beggars BanquetのBEGA 42。録音は主にRockfield Studiosで行われ、A1はBBC Maida Vale Studios 4で録音されたライヴ音源、A4はBeck Studiosで録音されたとクレジットされている。LPにはイラスト入り歌詞インナーが付属していた。こうした仕様からも、当時のBauhausがアルバム全体を一つの作品として見せようとしていたことがわかる。
この盤のオリジナルは1982年のリリースで、同年の作品として受け止めるのが自然だ。Beggars Banquetは当時の英国インディーを支えた重要レーベルで、Bauhausのようなポストパンク/ゴス系のバンドと相性がよかった。レーベルの持つ独立系の強さと、バンドの緊張感のある美学が、かなり噛み合っていた印象がある。
Bauhausの中での位置づけ
Bauhausは1983年にいったん解散するので、『The Sky's Gone Out』は初期活動の終盤に近い時期のアルバムでもある。デビュー作から積み上げてきた不穏さを保ちつつ、少し広い音の見せ方に踏み込んだ作品として見ると、バンドの変化がわかりやすい。後の再結成や再始動を経ても、この時期のBauhaus像が最も強く参照されることは多い。
聴感上は、音数で押すというより、間の取り方やリフの置き方で圧を作る場面が目立つ。ピーター・マーフィーの声は前に出るが、歌メロだけで引っ張るというより、演奏全体の不穏な配置の中で機能している感じがある。そこがBauhausらしさでもあり、このアルバムが単なる雰囲気物で終わらない理由でもある。
1982年という時点で、Bauhausはすでにポストパンクの枠を越えて、ゴス・ロックの原型をかなり明確に示していた。その意味で『The Sky's Gone Out』は、初期Bauhausの集大成というより、バンドの輪郭がより広く認識されるきっかけになった作品として読むのがしっくりくる。
トラックリスト
- A1 Third Uncle 5:10
- A2 Silent Hedges 3:07
- A3 In The Night 3:04
- A4 Swing The Heartache 5:52
- A5 Spirit 5:28
- B1 The Three Shadows Part I 4:24
- B2 The Three Shadows Part II 3:13
- B3 The Three Shadows Part III 1:35
- B4 All We Ever Wanted Was Everything 3:50
- B5 Exquisite Corpse 5:39
動画プレイリスト
-
Bauhaus - Third Uncle (Brian Eno Cover) - Remastered
-
Bauhaus - In the Night - Remastered
-
Bauhaus - All We Ever Wanted Was Everything - Remastered
-
Bauhaus - Ziggy Stardust (David Bowie Cover) - Remastered
-
Bauhaus - Spirit - Remastered
-
Bauhaus - Watch That Grandad Go - Remastered
-
Bauhaus - Silent Hedges - Remastered
-
Bauhaus - The Three Shadows Part 1 - Remastered
-
Bauhaus - The Three Shadows Part 2 - Remastered
-
Bauhaus - The Three Shadows Part 3 - Remastered
-
Bauhaus - Swing the Heartache - Remastered
-
Bauhaus - Exquisite Corpse - Remastered
-
Bauhaus - Party of the First Part - Remastered
-
Bauhaus - Spirit - Remastered