Sonic Youth - Sonic Youth (1982)
Sonic Youth『Sonic Youth』(1982)レビュー
Sonic Youthのセルフタイトル作『Sonic Youth』は、1982年にUSのインディペンデント・レーベルNeutral Recordsから出た作品だ。のちにオルタナティブ・ロックの重要バンドとして語られる彼らの、初期の輪郭がかなりはっきり見える1枚でもある。バンドは1981年にニューヨークで結成され、当時の編成はThurston Moore、Lee Ranaldo、Kim Gordon、Richard Edsonを中心とする形。No Waveの流れと、Glenn Branca周辺の実験的な空気を引き継いだ出発点として見られることが多い。
作品の立ち位置
この時期のSonic Youthは、後年のような大きな評価や影響力が定着する前段階にいる。とはいえ、すでにギターの扱い方や音の組み立て方には、普通のロックバンドとは違う感触がある。MooreとRanaldoがBrancaの環境で活動していたことも、この作品の輪郭を理解するうえで重要な要素だろう。ロックの形式を保ちながら、ノイズや反復、ずれた響きを前に出していく姿勢が、初期作品としてそのまま記録されている。
サウンドの印象
実際に聴くと、まずギターの音の重なり方が目につく。きれいに和音を鳴らすというより、チューニングや響きのぶつかりを前提にした演奏で、曲の輪郭が少しざらついたまま進む感じだ。Kim Gordonのボーカルは、歌い上げるというより言葉を置いていくような場面が多く、バンドの硬い手触りとよく噛み合っている。Richard Edsonのドラムも、後年のSteve Shelley期とは違う、より初期の荒さを残した動きに見える。
全体としては、ポストパンクやアートロックの文脈に置かれやすい内容だが、単に「実験的」と片づけるより、ロックのバンド編成の中でどこまで音を崩せるかを試している作品として捉えるほうが近い。The Velvet Undergroundや、同時代のNY地下シーン、さらにBranca周辺の流れと並べて語られるのも自然だ。
曲と聴きどころ
このアルバムで特に知られる代表曲としては「The Burning Spear」が挙げられることが多い。短い曲の中で、ギターのノイズ感と反復の強さが前面に出ていて、初期Sonic Youthの感触をつかみやすい1曲だ。のちの代表作のような大きなフックで押すタイプではないが、バンドの初期像をそのまま切り取ったような存在感がある。
加えて、アルバム全体を通して、曲ごとの展開よりも音の配置や質感のほうが印象に残りやすい。メロディを追うというより、演奏の圧や空白、ギター同士の干渉を聴くタイプの作品だと言えそうだ。
バンドの歴史の中で
この時点では、Sonic Youthはまだ編成も固まりきっていない。Richard Edsonが在籍していた初期の記録であり、その後はBob Bert、Jim Sclavunos、さらに1985年からSteve Shelleyが加わって、長く続く主要編成へつながっていく。そうした意味では、『Sonic Youth』は完成形ではなく、バンドの出発点としての役割が大きい。
後年のSonic Youthは、オルタナティブ・ロックやインディー・ロックの重要バンドとして広く知られるが、その土台にあるのは、この時期の硬質な実験性だろう。初期の1枚として、バンドの方向性がまだ生々しく残っているところが面白い。
まとめ
『Sonic Youth』は、1982年のニューヨークの空気と、No Wave以後の実験的なロックの感覚をそのまま閉じ込めたような作品だ。派手なヒットで押すアルバムではないが、Sonic Youthというバンドがどこから始まったのかを知るには、とても重要な記録になっている。
トラックリスト
- A1 The Burning Spear 3:25
- A2 I Dreamed I Dream 5:17
- A3 She Is Not Alone 4:06
- B1 I Don't Want To Push It 3:35
- B2 The Good And The Bad 7:55
関連動画
- The Burning Spear
- I Dreamed I Dream
- She Is Not Alone
- I Don't Want to Push It
- The Good and the Bad
- Kim Gordon - Extracto cortometraje Felipe Orrego