Bo Hansson - Music Inspired By Lord Of The Rings (1970)
Bo Hansson 1970

Bo Hansson - Music Inspired By Lord Of The Rings (1970)

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Bo Hansson『Music Inspired by Lord Of The Rings』

スウェーデンのキーボード奏者、Bo Hanssonによる『Music Inspired by Lord Of The Rings』は、J.R.R.トールキン『指輪物語』に着想を得たインストゥルメンタル作品である。オリジナルは1970年にスウェーデンで登場し、のちに英米圏でも広く知られることになった。今回のUS盤はCharismaからの1972年リリースで、英語圏での評価を決定づけた再登場盤として捉えられる。

作品の立ち位置

Bo Hanssonは、Hansson & Karlssonで知られた人物で、オルガンを軸にした演奏で60年代後半から存在感を示していた。このアルバムは、彼にとってもっとも有名な作品であり、70年代の幻想性を帯びたプログレッシブ・ロックの代表例として扱われている。歌ものではなく、物語性を音色や展開で組み立てていく点が特徴で、彼のキャリアの中でも中心的な位置を占める一枚と言えそうだ。

制作の出発点は、ハンソンがトールキンの原作に強く惹かれたことにある。最初は歌入りの構想もあったとされるが、最終的にはインストゥルメンタル作品としてまとまった。資金面の制約もあり、当初想定していた編成をそのまま実現する形ではなかったようだが、その条件の中で楽曲は整理され、独自のまとまりを持つアルバムになっている。

70年代プログレの中での位置

この時期のプログレには、長尺の組曲、神話や文学を題材にした作品、シンセやオルガンを前面に出した構成が多い。そうした文脈の中で本作は、YesやGenesisのような英国プログレとは少し違う、北欧らしい冷たさと簡潔さを含んだ作品として聴こえる。演奏は派手に技巧を誇示する方向ではなく、モチーフを繰り返しながら場面を切り替えていく進め方で、物語の断片をつないでいくような印象が残る。

また、同時代のサイケデリック・ロックやアート・ロックの流れも感じられる。曲ごとの輪郭は明確で、メロディが前に出る場面も多い。結果として、重厚な大作というより、テーマを持った小品を連ねたような構成に近い。後年の再評価でも、この「分かりやすい主題を持つインスト作品」という点が印象に残りやすい。

収録曲と聴きどころ

代表曲としてまず挙がるのは、アルバムの冒頭を飾る「The Black Riders」だろう。緊張感のある導入から始まり、作品世界への入口を作る役割がはっきりしている。続く「The Old Forest / Tom Bombadil」や「The Barrow-Downs」は、場面転換の感覚が強く、原作のエピソードをなぞるように曲調が変わっていく。

聴いていて目立つのは、キーボードの音色だけでなく、ベースやパーカッションの動きが全体の推進力になっている点である。静かな部分でも空白を残しすぎず、一定のリズム感を保ちながら進むため、映像のないサウンドトラックのような感覚がある。終盤に向かう流れでは、断片的だったモチーフがまとまりを見せ、アルバム全体の輪郭が見えやすくなる。

なお、後年のプレスでは収録曲や表記に違いが出ることがある。本盤のクレジットでは、ジャケットとラベルで「Homeward Bound / The Scouring Of The Shire」の表記差が確認できる。こうした細部は、オリジナル期からの流通や再発の過程を反映している部分でもある。

US Charisma盤としての意味

1972年のUS盤は、Buddah Records配給のCharismaから出たもので、英米圏でこの作品が広がるきっかけになった一枚だ。英国ではCharismaがプログレ系の重要レーベルとして機能しており、GenesisやVan der Graaf Generatorなどの作品と並ぶことで、本作も同じ文脈に置かれた。レーベルの看板に乗ったことで、単なる北欧の珍品ではなく、70年代初頭のプログレ作品として受け取られやすくなったはずだ。

Bo Hanssonにとっても、このアルバムは英米チャートに入った唯一の作品として知られている。そうした意味で、彼の名前を広く定着させた中心作であり、後の幻想的なインスト作品群へつながる起点でもある。トールキン作品のイメージを、言葉ではなく音の配置で描こうとした点に、このアルバムの個性がある。

まとめ

『Music Inspired by Lord Of The Rings』は、文学作品を題材にした70年代プログレの中でも、比較的コンパクトな構成と明快な主題を持つ作品である。スウェーデン発のオリジナルから、Charisma経由で英米に広がり、Bo Hanssonの代表作として定着した流れも含めて、時代の空気をよく映している。サイケデリック・ロックとアート・ロックの要素をつなぎながら、物語を音で組み立てた一枚として見ておきたい。

トラックリスト

  1. A1 Leaving Shire 2:47
  2. A2 The Old Forest / Tom Bombadil 3:42
  3. A3 Fog On The Barrow-Downs 2:28
  4. A4 The Black Riders / Flight To The Ford 3:48
  5. A5 At The House Of Elrond / The Ring Goes South 4:23
  6. B1 A Journey In The Dark 1:07
  7. B2 Lothlórien 3:22
  8. B3 Shadowfax 0:50
  9. B4 The Horns Of Rohan / The Battle Of The Pelennor Fields 3:58
  10. B5 Dreams In The Houses Of Healing 1:50
  11. B6 Homeward Bound / The Scouring Of The Shire 2:11
  12. B7 The Grey Havens 4:56

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