The Golden Palominos - The Golden Palominos (1983)
The Golden Palominos 1983

The Golden Palominos - The Golden Palominos (1983)

Rock Jazz Funk / Soul Fusion Avantgarde Abstract Free Funk

The Golden Palominos『The Golden Palominos』

Anton Fierが率いるThe Golden Palominosの始動作。1983年にCelluloidから出たこのアルバムは、Fier自身が自分の音楽的アイデアと、組みたい相手とのコラボレーションの器として立ち上げたプロジェクトの最初の記録になっている。固定メンバーのバンドというより、参加者の組み合わせで形を変える出発点として作られた作品だ。

制作背景・エピソード

録音は1983年、Radio City Music Hall Studio/NYCとOAO Studio/Brooklynで行われた。ミックスはRPM Studio/NYCとOAO/Brooklyn。クレジット面では、A4のバックカバー表記に「Arton Lindsay」というタイプミスがある。レーベル面とバックカバーには、アメリカとカナダでThe Moss Music Group, Inc.が配給した旨の記載もある。

この作品については、初期のThe Golden Palominosがニューヨーク・ダウンタウンの実験的な音楽環境に根ざしていたこと、中心にAnton Fier、Arto Lindsay、Fred Frith、Bill Laswell、John Zornらがいたことが確認されている。AllMusicは、1983年当時としては大胆なターンテーブルやヒップホップ的要素、さらに「水中でクラリネットを吹く」ような奇抜な発想まで取り込んだ作品だと述べている。Robert Christgauは、Fierが中心にいる一方で、実質的にはArto Lindsayが6曲中多くで演奏と共作を担い、作品の刺激性を支えたと評した。

レーベルはCelluloid Records。フランス発のレーベルとして始まり、のちにニューヨークへ拠点を移して実験音楽やクロスカルチャーなサウンドに力を入れ、Bill Laswellとの関係も深めていった。1983年のこのアルバムは、その流れの中で出た一枚でもある。

時代の文脈

1983年のニューヨークでは、ノーウェイヴ後の実験精神、ダウンタウン・シーン、ジャズ、ファンク、パンク、クラブ文化が交差していた。本作はその中で、商業ロックの外側にある前衛ファンク/アートロック作品として位置づけられている。AllMusicはMaterialを想起させるとしており、Trouser Pressも、Fierのダウンタウン・スーパーグループが尖った即興性から、より引き締まったアート・ファンクへ移る起点だと述べている。

つまりこのアルバムは、後に編成が大きく変わっていくThe Golden Palominosの最初の実験結果であり、Anton Fierのキャリアの中でも、コラボレーション志向をはっきり示した一枚として扱われている。

後の評価

批評面では、Robert ChristgauがA−、AllMusicも好意的な評価を与えている。Christgauは「cacophonous avant-funk expedition(騒然とした前衛ファンクの遠征)」と表現し、Bill Laswellの低音とAnton Fierの推進力が全体を支えると書いた。AllMusicは、反復するビート、ターンテーブル、変則的なテクスチャー、奇想天外な音響を挙げつつ、「当たり外れはあるが、聴いていて非常に面白い」と整理している。

再評価も続いていて、後年の回顧では、このデビュー作をダウンタウン由来の変身願望の率直な表明とみなす見方も出ている。主要チャートでの大きな記録は確認されていないが、1983年のアンダーグラウンド作品として、批評家の側ではかなり高く受け止められた一枚。

曲単位では、A4のArto Lindsayのクレジット表記ミスが残るなど、細部まで当時の制作現場の痕跡が見える。演奏参加者の組み合わせや録音場所、レーベルの動きまで含めて、1983年のニューヨークの地下シーンをそのまま切り取ったようなアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Clean Plate 6:32
  2. A2 Hot Seat 5:13
  3. A3 Under The Cap 5:32
  4. A4 Monday Night 6:29
  5. B1 Cookout 4:38
  6. B2 I.D. 6:45
  7. B3 Two Sided Fist 7:42

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

The Golden Palominos

The Golden Palominos

The Golden Palominos(ザ・ゴールデン・パロミノス)は、ドラマー/パーカッショニスト/プロデューサーのアントン・フィア(Anton Fier)を中心に、...

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