Funk Factory - Funk Factory (1975)
Funk Factory『Funk Factory』
Funk Factoryは、ポーランド出身のヴァイオリン/サックス奏者Michał Urbaniakを中心にしたスタジオ・プロジェクトで、1975年にATCO Recordsから発表されたセルフタイトル作。Urszula Dudziakが歌を担い、録音はニューヨークのAtlantic Recording Studiosで行われている。残された作品はこの1枚だけで、ポーランド勢とアメリカ勢のプレイヤーが交わる形で組み立てられたアルバムだ。
制作背景・エピソード
この作品では、Urbaniakと行動をともにしていたUrszula Dudziakに加え、Włodek Gulgowski、そしてNovi Singersの創設者でヴォーカル・アレンジを担当したBernard Kafkaが参加している。B.K. SingersとしてクレジットされるのはLaura Tequila Logan、Ann Tripp、Bill Ruthenberg、Bernard Kafkaの4人。
Be With Recordsの再発時の解説では、Urbaniakが「東欧のミュージシャンはファンキーじゃない」と言われたことへの返答としてこのアルバムを作った、という伝説が紹介されている。ただし、これはあくまで言い伝えとしての扱いだ。演奏面では、再発解説でベースにAnthony JacksonとTony Levin、ドラムにSteve GaddとGerald Brown、ギターにJohn AbercrombieとBarry Finnertyの名前が挙がっている。
曲の中では「Next Please」でWłodek Gulgowskiのモーグ・ソロが聴けるとされ、「Horsing Around」はひねったグルーヴを持つ曲として言及されている。作品全体についてOliver Arditiは、ソロよりもアンサンブル全体の効果を重視した作りだと述べている。
時代の文脈
UrbaniakとDudziakは1973年9月にポーランドからアメリカへ移住し、ジョン・ハモンドの推薦でColumbiaと契約。その後、1974年にはポーランド民謡の旋律やリズムをニューヨークのファンク寄りジャズに持ち込むバンドFusionを結成し、『Atma』などを録音していた。『Funk Factory』は、その流れの中にある1975年の作品で、同年にはFusion名義の『Fusion III』も出ている。
Arditiは、Funk Factoryはスタジオの中にしか存在せず、ツアーも行われなかったと見ている。そして、Urbaniakが商業的な成功を狙ったものの実らなかった企画だろうと書いている。作品の中では、クリーミーなコーラスのハーモニーと、演奏するのが難しいほどひねったグルーヴが特徴として挙げられており、遊び心のある作りだと評されている。Be With Recordsの紹介では、Dudziakのヴォイスがトリップしたキーボード、タイトなドラム、焼けたようなシンセの上を漂う、と表現され、ハービー・ハンコックやジョージ・デュークの作品に近い洗練ぶりにも触れられている。
後世への影響
発売当時は大きな話題にならなかった一方で、のちにレア・グルーヴを掘るDJやコレクターの間で人気盤となった。特に「Rien Ne Va Plus」は、ダスト・ブラザーズがビースティ・ボーイズ『Paul's Boutique』収録の「Car Thief」で大きくサンプリングしたことで知られている。Arditiは、このサンプリングがあっても原曲が広く知られるきっかけにはならなかったと指摘している。
オリジナル盤は高値で取引され、2016年にはBe With Recordsから公式ライセンスの180g盤として初めてアナログ再発された。Wax Poeticsはこの作品を「Funk Factoryはクレイジーだ!しかもレア!」と評している。
盤情報
このUS盤はATCO RecordsのSD 36-116。録音はAtlantic Recording Studios, New York, New York。オリジナルの1975年盤として扱われる作品だ。
トラックリスト
- A1 Watusi Dance 4:38
- A2 Horsing Around 3:56
- A3 Rien Ne Va Plus 5:15
- A4 After All The World Goes Home 5:13
- B1 Next Please 3:12
- B2 The Music In Me 4:06
- B3 Funk It 3:42
- B4 Lilliput 5:27
- B5 Sinkin' Low 4:55