Allan Holdsworth

Vinyl Record Reviews

Allan Holdsworth

Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)とは

アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth、1946年8月6日 - 2017年4月16日)は、イギリス・ウェスト・ヨークシャー州ブラッドフォード出身の伝説的ギタリストであり作曲家である。エレクトリック・ギターの演奏技術と和声理論の概念を根底から刷新し、ジャズ・フュージョンおよびプログレッシブ・ロックの歴史に不滅の足跡を刻んだ。

米『Guitar Player』誌の殿堂入りを果たし、5度にわたり読者投票で年間最優秀ギタリストに選出されたほか、『Musician』誌の「歴代最高のギタリスト100人」にも選ばれるなど、世界中のミュージシャンから「ギタリストのためのギタリスト」として崇拝された。

キャリアの黎明:名門グループを渡り歩いた1970年代

青年期にサックスやヴァイオリンの表現力に魅了され、10代後半で独学でギターを手にした。ジャズの巨人ジョン・コルトレーンらの息の長いフレージングに強く触発され、従来のロックやブルースのクリシェから完全に脱却した独自の運指体系を築き上げた。

1970年代初頭のイギンボトムやイアン・カー率いるニュークリアスでの活動を経て、ジョン・ハイズマン率いるテンペスト、ソフト・マシーンの名盤『収束(Bundles)』(1975年)、トニー・ウィリアムス・ライフタイム、ゴング、ジャン=リュック・ポンティ、ビル・ブルーフォードの諸作に参加した。さらに1978年にはプログレッシブ・ロックのスーパーグループ「U.K.」の初代ギタリストを務め、その神業的なレガートと異次元のコード・ワークで世界中に衝撃を与えた。

音楽的特徴と革新技術:レガート奏法とシンセアックス

ホールズワースのプレイスタイルを象徴するのが、右手によるピッキングを最小限に抑え、ハンマリング・オンとプリング・オフを極限まで滑らかに連続させる驚異の「レガート奏法」である。途切れることのない滑らかな音の流れは、弦楽器でありながら管楽器のソロを聴いているかのような錯覚をもたらした。

さらに、人並み外れた指の開き(ストレッチ)を駆使し、4〜5フレットに及ぶワイドなヴォイシングでテンション・ノートを積み重ねる独自の和声理論を構築した。これにより、従来の調性音楽の枠組みを超えた神秘的で浮遊感のあるハーモニーを生み出した。

1980年代半ばからは、息を吹き込むことで音色やダイナミクスを操る革新的なMIDI楽器「シンセアックス(SynthAxe)」をいち早く導入した。単なるギター・シンセサイザーの枠を超え、オーケストラのような重層的かつポリフォニックな音響空間を構築する手段として極限まで活用した。

ソロ活動と代表作の系譜

1982年、妥協のない自らの理想郷を具現化するため自主制作に近い形で発表したアルバム『I.O.U.』で本格的なソロ活動を開始した。その演奏に驚嘆したエディ・ヴァン・ヘイレンの後押しを受け、大手ワーナー・ブラザースと契約し、グラミー賞にノミネートされたミニ・アルバム『Road Games』(1983年)を発表した。

1985年にはエレクトリック・ギター史上の金字塔と称される傑作『Metal Fatigue』を発表した。その後もシンセアックスの可能性を極限まで追求した『Atavachron』(1986年)や『Sand』(1987年)、『Secrets』(1989年)、『Wardenclyffe Tower』(1992年)、そしてアコースティックなジャズ・アンサンブルへの回帰を果たした晩年の傑作『The Sixteen Men of Tain』(2000年)に至るまで、唯一無二の芸術性を貫き通した。

後世の音楽家への巨大な影響

エディ・ヴァン・ヘイレン、フランク・ザッパ、スティーヴ・ヴァイ、ジョン・ペトルーシ、ショーン・レイン、グレッグ・ハウなど、ジャンルを問わず名だたる技巧派ギタリストたちがこぞってホールズワースへの敬意と影響を公言している。

彼が到達した比類なきレガート技術、複雑を極めたコード理論、そして求道者のように音楽の純粋性を追求し続けた姿勢は、現代のジャズ、フュージョン、プログレッシブ・メタルに至るあらゆる音楽シーンにおいて、エレクトリック・ギターの究極の進化形として永遠に語り継がれている。

ジャンル・スタイル

Jazz Rock Contemporary Jazz Fusion
Share

こちらもおすすめ

toast