Vinyl Record Reviews
Working Week(ワーキング・ウィーク)は、1983年にロンドンで結成されたイギリスのジャズ・ダンス・バンドだ。ジャンルはジャズ、ファンク/ソウルにまたがり、スタイルとしてはソウル、コンテンポラリー・ジャズ、アシッド・ジャズに接続している。中心人物はSimon Booth(本名Simon Emmerson)、Juliet Roberts、Larry Stabbinsで、メンバーの入れ替わりが多い流動的な編成も特徴だった。
前身には、Alison Stattonが1981年に組んだウェールズのバンドWeekendがある。Statton脱退後、WeekendのギタリストだったSimon Boothとサックス奏者Larry Stabbinsが新たに立ち上げたのがWorking Weekだ。固定メンバーに加えて、ジャズやワールド・ミュージック系のプレイヤーが参加する形で活動が進んだ。
1984年のデビュー・シングル「Venceremos (We Will Win)」は、チリの抗議歌手ビクトル・ハラに捧げた曲として知られる。ヴォーカルにはロバート・ワイアットとEverything but the GirlのTracey Thornが参加し、全英64位を記録した。
1985年4月にはVirginからファースト・アルバム『Working Nights』を発表している。ソウル、ジャズ、ラテンを混ぜたサウンドで、全英23位まで上がり、国内外で15万枚を売り上げた。プロデュースはRobin Millarが担当した。
続く『Compañeros』(1986年)は全英72位を記録した。その後も『Fire in the Mountain』(1989年)などを発表し、1991年の『Black and Gold』が最後のスタジオ・アルバムになっている。
1980年代半ばの専任ヴォーカルはJuliet Robertsで、のちにソロのR&B/ハウス・シンガーとして活動の幅を広げた。後期の録音ではJulie Tippettsも参加している。
Working Weekのサウンドは、ジャズの演奏感を土台に、ソウル、ラテン、ファンクの要素を組み合わせたものとして整理できる。ダンス・ミュージックの文脈にありながら、サックスやギターを軸にしたバンド演奏が前に出る点が特徴だ。80年代ロンドンのクラブ・シーンで、ジャズを踊る音楽として鳴らしたグループのひとつだった。
また、のちのアシッド・ジャズの先駆けとして位置づけられることも多い。編成の流動性や、ジャズをクラブ向けのグルーヴへつなぐ作り方は、その後のUK音楽の流れにも接続している。
Simon EmmersonはWorking Week解散後、アイルランド/ケルトの伝統音楽、西アフリカの音楽、エレクトロニカを融合したAfro Celt Sound Systemを結成した。こちらはグラミー賞にもノミネートされている。Emmersonは2023年に死去している。
Working Weekを追うなら、まずは「Venceremos (We Will Win)」と『Working Nights』が入口になる。政治的なメッセージを持つシングルと、ジャズ、ソウル、ラテンが交差するアルバムを並べて聴くと、このバンドの輪郭が見えやすい。80年代ロンドンのクラブ・ジャズがどう組み立てられていたかを知るうえでも、重要な存在だ。