Allan Holdsworth - Atavachron (1986)
Allan Holdsworth 1986

Allan Holdsworth - Atavachron (1986)

Rock Jazz Fusion Contemporary Jazz

Allan Holdsworth『Atavachron』

Allan Holdsworthの『Atavachron』は、1986年に日本盤が出た作品で、ホールズワースがSynthAxeを本格的に取り入れた時期を示すアルバムとして知られている。タイトルは『スタートレック』の「All Our Yesterdays」に登場する時間装置“Atavachron”に由来し、収録曲「All Our Yesterdays」もその発想を受けた曲として語られている。

制作背景・エピソード

ホールズワースは、この時期に新しい楽器SynthAxeを手にして間もなく、その可能性を前提に曲を書いたとされる。本人は、以前の作品ではヴォーカル曲が音楽的に「水で薄めたよう」に感じられたと振り返っており、本作ではインストゥルメンタル中心へはっきり舵を切った。数年続いたトリオ編成の反動もあり、Billy ChildsやKei Akagiらのキーボード奏者を招いて、ギターだけでなくシンセや鍵盤のレイヤーを重ねる方向へ進んでいる。

Gary Husbandの回想では、録音はかなり短時間で進み、素材のカセットを前日に受け取り、スタジオでおよそ1日ほど録って終わったという。Tony Williamsが参加した「Looking Glass」では、共演者の個性が曲の性格に影響している点も印象的だ。「All Our Yesterdays」については、ホールズワース自身がほぼ唯一、明確な即興がある曲だと示唆している。

時代の文脈

1980年代半ばのホールズワースは、UK、Bruford、I.O.U.、『Road Games』『Metal Fatigue』を経て、フュージョン/プログレの場で技巧面だけでなく、独自の作曲感覚を前に出す段階へ移っていた。『Atavachron』はその流れの中で、SynthAxeを本格導入した転機として位置づけられている。本人は、キーボード優位の環境からギターを前面に出す時期を経て、逆にシンセ的な発想をギター側へ持ち込んだと説明している。

1986年という年は、ギターのスピード競争やMIDI、電子楽器の拡張が進んだ時期でもあった。その中で本作は、単なるギター・ヒーロー的な作品ではなく、音色設計と即興の扱いを組み替えたアルバムとして作られている。AllMusic系の評では、“semi-progressive”で“symphonic element”を持つ作品として紹介されている。

後世への影響

『Atavachron』は、ホールズワースがSynthAxeを象徴的に使い始めた作品として、その後のキャリアを語る際の基準点になっている。後年の本人のインタビューや回顧記事でも、1986年以降の作品を扱う場面でこのアルバムが参照されることが多い。影響を受けたアーティスト名の一次資料は限られるものの、ギタリストやミュージシャンの間で、技巧と音色探究のモデルとして長く引き合いに出されている。

日本盤にはライナーノーツが付属し、Manufactured in Japan by Warner-Pioneer Corporation、Under License from Fred Bloggs Inc., USA、Made in Japan、定価¥2,500といった表記がある。1986年のオリジナル作としての性格と、日本盤ならではの仕様が見える一枚。

トラックリスト

  1. A1 Non Brewed Condiment 3:39
  2. A2 Funnels 6:10
  3. A3 The Dominant Plague 5:41
  4. B1 Atavachron 4:45
  5. B2 Looking Glass 4:31
  6. B3 Mr Berwell 6:21
  7. B4 All Our Yesterdays 5:25

動画プレイリスト

公開: 2026年10月
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