Vinyl Record Reviews
Andy Bey(アンディ・ベイ)は、1939年10月28日にニュージャージー州ニューアークで生まれたジャズ・シンガー兼ピアニストだ。2025年4月26日にニュージャージー州イングルウッドで85歳で亡くなった。ジャズとソウルの領域で活動し、ジャンル表記ではJazz、Funk / Soul、スタイルではJazz-Funk、Soul-Jazz、Modalに関連づけられている。
ベイは姉妹のSalome Bey、Geraldine Beyと家族を持ち、10代の早い時期からプロとして活動していた。若いころにはLouis Jordanのために歌い、1959年から1960年にかけてはConnie Francisのテレビ番組『Startime』にも出演している。17歳のときには、姉妹とともに「Andy and the Bey Sisters」を結成した。
このグループは16か月におよぶヨーロッパ・ツアーを行い、1961年から1965年にかけてRCA VictorとPrestigeに3枚のアルバムを残した。グループは1967年に解散している。
グループ解散後は、サイドマンとして多くのジャズ・ミュージシャンと共演した。1970年にはBlue Noteから『That Healin' Feelin'』を発表し、ここからHorace Silverとの長い関係が始まる。Horace Silverとは約20年にわたって断続的に活動を共にした。
ほかにも、Max Roach、Gary Bartz、Stanley Clarkeらの作品に参加している。ベイの名前は、ジャズのさまざまな現場で見かける機会が多いタイプの音楽家として残っている。
Andy Beyは、4オクターブに及ぶ音域と深いバリトンの声で知られていた。ピアニストとしての活動もあり、歌と演奏の両方を自分で担える点が大きな特徴だ。ソウル寄りの感触を持ちながら、ジャズの文脈ではモーダルな進行やジャズ・ファンク的な要素とも結びついて語られている。
1974年のAtlantic盤『Experience and Judgment』では、インド音楽の影響が感じられる内容も見られた。この作品は一定の評価を受けたが、商業的な成功にはつながらなかった。
その後しばらくは表立った注目が続かなかったが、プロデューサーのHerb Jordanの尽力で1996年に『Ballads, Blues & Bey』を発表し、再評価の流れに乗った。ベイは1994年にHIV陽性と診断されたことを公にしながら、ヨガや菜食を取り入れた生活を続けて活動していた。
2003年にはJazz Journalists Associationの「Jazz Vocalist of the Year」に選ばれ、2005年の『American Song』はグラミー賞にノミネートされた。2014年の『Pages from an Imaginary Life』は、NPRのジャズ批評家投票で最優秀ボーカル・アルバムに選ばれている。ソロ名義では通算10作を残した。
ベイについては、John Coltraneのお気に入りの歌手だったと伝えられている。Savoyjazz.comでもその点が紹介されており、ジャズの聴き手のあいだで特別な位置づけを持つ歌手として語られてきた。長く活動を続けながら、歌、ピアノ、グループ活動、ソロ作を通して、自分の持ち場を広げていった音楽家だ。