Vinyl Record Reviews
Gene Harris(ジーン・ハリス、本名ユージーン・ヘア)は、1933年9月1日にアメリカ・ミシガン州ベントンハーバーで生まれたジャズ・ピアニスト、キーボード奏者だ。2000年1月16日にアイダホ州ボイシで亡くなっている。
ジャンルはジャズ、ファンク/ソウルにまたがり、スタイルとしてはジャズ・ファンク、ソウル・ジャズで知られる。ブルースとゴスペルに根ざした演奏で評価されていて、鍵盤のタッチがはっきりしたピアニストとして紹介されることが多い。
ハリスは陸軍での兵役を経て、本格的に音楽活動を進めた。1956年から1970年まで、ベースのアンディ・シンプキンス、ドラムのビル・ダウディとともにピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」を率いた。
この時期にはBlue NoteやVerveに録音を残していて、トリオ・ジャズの枠の中で、リズムの強さとメロディのわかりやすさを両立させた演奏を展開している。ソウル・ジャズの代表的なピアニストとして挙げられるのも、この時代の活動が大きい。
「スリー・サウンズ」解散後は、Blue Noteでソロ作を発表した。さらにエレクトリック・キーボードも取り入れながら、ジャズ・ファンク寄りの作品にも取り組んでいる。
ここでは、アコースティック・ピアノだけでなく、当時のサウンドの変化に合わせた鍵盤表現を試していたことがわかる。ジャズの語法を保ちながら、ファンクやソウルの要素を前に出した作品群として整理できる。
1977年、ハリスはアイダホ州ボイシへ移った。半ば引退する形での移住だったが、地元の聴衆に向けた演奏は続けていた。アイダンハ・ホテル内のレストランでの演奏がその代表例として挙げられる。
その後、1980年代初頭にベーシストのレイ・ブラウンの説得でツアー活動に復帰した。レイ・ブラウン・トリオでの演奏を経て、自身のグループを率い、主にConcord Recordsに録音している。
ボイシ在住の23年間で22枚のアルバムを発表しており、地方都市を拠点にしながらも録音活動を継続していたことが確認できる。
こうした要素から、ハリスの音楽は、ハードなインプロヴィゼーションだけで押し切るタイプというより、リズムの推進力と歌心を前に出したものとして受け取れる。Blue Note時代の録音や、後年のConcordでの作品にもその傾向が続いている。
1988年には、アルバム『Tribute to Count Basie』がグラミー賞にノミネートされている。これは、ビッグバンド・ジャズの伝統に向き合った作品として受け止められた記録だ。
また、ボイシ州立大学では1998年から「ジーン・ハリス・ジャズ・フェスティバル」が開かれている。ボイシのアン・モリソン公園の野外ステージにも彼の名が付いていて、地元との結びつきが残っている。
娘は歌手のニキ・ハリスとして知られている。