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アルパディス(Arpadys)は、1970年代後半のフランス・パリで結成されたスペース・ファンク/コズミック・ディスコのスタジオ・プロジェクトである。名門ディスコ・グループのボヤージュ(Voyage)のメンバーをはじめ、フランス音楽界の第一線で活躍していた腕利きのセッション・ミュージシャンやライブラリー音楽の巨匠たちが集結した実力派スーパーグループであり、欧州コズミック・ディスコ/レア・グルーヴの金字塔として世界中のDJやレコード・コレクターからカルト的な支持を集めている。
Arpadysの母体となったのは、当時のフランス音楽界を牽引していた屈指の演奏家たちである。ギターのスリム・ペザン(Slim Pezin)はマヌ・ディバンゴやセローネ、フランス・ギャルらの作品を支えた名セッション・ギタリストであり、ベーシストのソーヴール・マリア(Sauveur Mallia)とドラマーのピエール=アラン・ダアン(Pierre-Alain Dahan)、パーカッショニストのマルク・シャントロー(Marc Chantereau)とともに、世界的なヒットを飛ばしたディスコ・グループVoyageの中核を担った名手たちであった。さらに、フランス初期電子音楽/シンセサイザーのパイオニアであるジョルジュ・ロディ(Georges Rodi)がポリフォニック・シンセサイザーやモーグを担当し、セルジュ・ゲンスブール周辺の編曲・伴奏で知られるジャン=ピエール・サバール(Jean-Pierre Sabar)がエレピやフェンダー・ローズを弾いた。
本作は通常のツアー・バンドというよりも、最高峰の演奏技術と先鋭的な音響設計をレコード盤上に凝縮させるべく組織された至高のスタジオ・プロジェクトであった。
1977年、彼らはシロッコ(Sirocco/Polydor配給)レーベルより唯一のフル・アルバム『Arpadys』をリリースした。本作はフランス屈指のライブラリー・レーベルTele Musicからも別タイトルのライブラリー盤『Industrial Rock』として供給されている。
アルバムの核となるのは、モーグやポリフォニック・シンセサイザーが描き出す浮遊感あふれる近未来的な音響空間と、重心の低い極太のファンク・グルーヴの融合である。ストレートな四つ打ちのディスコ・ビートにとどまらず、ジャズ・ファンク、プログレッシブ・ロック、ダブ/レゲエなどの要素を貪欲に取り込んだ独自のクロスオーバー・サウンドを展開した。
収録曲のなかでも、冒頭を飾る「Monkey Star」はスペース・ディスコの最高峰として名高い。うねるベースラインとスペーシーなシンセ・フレーズが疾走するこのインストゥルメンタル・トラックは、イタリアのコズミック・ディスコのパイオニアであるダニエレ・バルデッリ(Daniele Baldelli)をはじめとするDJたちに愛され、フロア・クラシックとして定着した。
さらに、唸るスラップとシンセ・ベースが強烈なグルーヴを叩き出す「Funky Bass」、エッジの効いたロック・ギターとタイトなリズム隊が躍動する「Stone Roller」、スペース・ファンクとダブの手法を掛け合わせた「Spatial Reggae」など、全編にわたって極めて高い完成度を誇る。
ArpadysのオリジナルLPは流通量が少なかったこともあり、1980年代以降のコズミック/アフロ・シーン、そして2000年代以降のバレアリックやレア・グルーヴ再評価の潮流の中で「幻のフレンチ・コズミック・ディスコ屈指の傑作」として神格化された。オリジナル盤は世界中のディガーの間で高額取引されるコレクターズ・アイテムとなり、フランスのFavorite Recordingsなどによるリイシュー盤を通じて新たな世代のリスナーへとその衝撃を伝え続けている。