Arpadys - Arpadys (1977)
Arpadys『Arpadys』
1970年代後半のフランスが生んだ伝説的スペース・ファンク/ディスコ・プロジェクト、Arpadysが1977年にPolydor(Sirocco Productions)から発表した唯一のフル・アルバム。フランス屈指の一流セッション・ミュージシャンたちが集い、研ぎ澄まされた生演奏と最新のアナログ・シンセサイザーを融合させて作り上げたインストゥルメンタル・スペース・ディスコの最高峰である。
制作背景・エピソード
本作の中核を担ったのは、同時代に「From East to West」などの世界的ヒットを放ったディスコ・グループVoyageのメンバーであり、CerroneやManu Dibangoのセッション、さらにはTele Music等のライブラリー音源で数々の名演を残した腕利きミュージシャンたち。スリム・ペザン(Slim Pezin:ギター)、ソーヴール・マリア(Sauveur Mallia:ベース)、ピエール=アラン・ダアン(Pierre-Alain Dahan:ドラムス)、マルク・シャントロー(Marc Chantereau:パーカッション)による鉄壁のリズム隊が集結した。
ここにフランス電子音楽界のパイオニアであるジョルジュ・ロディ(Georges Rodi)のポリモーグ・シンセサイザーと、ジャン=ピエール・サバール(Jean-Pierre Sabar)のキーボードが加わり、パリのE.T.A.スタジオで録音、ロンドンの名門Marquee Studiosでミックスが行われた。
時代の文脈
1977年は、Cerroneの『Supernature』やSpaceの「Magic Fly」など、フランスを発信源とするスペース・ディスコが世界を席巻した黄金期。無機質なシーケンスの反復にとどまるシンセ・ポップとは一線を画し、ブラック・ミュージックやアフロ・ファンクの骨太な躍動感を生演奏で叩き込んだArpadysのサウンドは、スペース・ディスコの中でもひときわ肉体的でエネルギッシュな異彩を放った。
商業的な大衆ポップスとしてではなく、スタジオ・ミュージシャンたちの自由な実験精神から生まれた本作は、当時のアンダーグラウンドなクラブ・シーンや高感度なDJたちの間でカルト的な支持を広げていった。
後世への影響
収録曲の「Monkey Star」と「Funky Bass」は、70年代末から80年代初頭のイタリアにおいて、ダニエレ・バルデリ(Daniele Baldelli)やベッペ・ロダ(Beppe Loda)らが確立した「コズミック・ディスコ(Cosmic / Afro-Sound)」ムーヴメントにおける究極のクラシックとして神格化された。ピッチを落としてプレイされるなど、催眠的なグルーヴがフロアを熱狂させた。
2000年代以降もIdjut Boysによるリミックスや、プリンス・トーマス(Prins Thomas)、リンドストローム(Lindstrøm)ら北欧スペース・ディスコ勢の直接のルーツとして絶大なリスペクトを受けている。ソーヴール・マリアの唸るスラップ・ベースとロディのスペーシーなシンセが炸裂する本作は、今なお世界中のダンスフロアとレコード・コレクターを魅了し続けるフレンチ・コズミック・ファンクの至宝である。
トラックリスト
- A1 Monkey Star 6:36
- A2 Funky Bass 6:25
- A3 Pharoah Song 4:48
- B1 Stone Roller 5:40
- B2 Spatial Reggae 5:50
- B3 Mystery Rock 5:03