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Black Heat(ブラック・ヒート)は、1970年代初頭にワシントンD.C.で結成されたアメリカの伝説的ファンク・バンドだ。ニューオーリンズのザ・ミーターズに対する「ワシントンD.C.からの回答」とも称され、泥臭くアーシーなストリート・ファンクに、アフロ・キューバン由来の激しいパーカッションとジャズの即興性を融合させた漆黒のグルーヴを誇る。名門Atlantic Recordsに3枚のアルバムを残し、レア・グルーヴ/ヒップホップ・シーンにおける聖杯的存在として君臨している。
バンドはパーカッショニストのキング・レイモンド・グリーン(King Raymond Green)を中心に結成。レイモンド・グリーン、エスコ・クローマー(ドラム)、ジェームス・デュヴァル、ナーモン・“チップ”・ジョーンズ(ベース)、ロドニー・エドワーズ、ジョンネル・グレイ、ブラッドリー・オーウェンズ、レイモンド・トンプソンら腕利きのプレイヤーが集結した。
ジャズ・トランペット奏者のフィリップ・ギルボーに見出された彼らは名門Atlantic Recordsと契約。ロバータ・フラックやローランド・カーク、レス・マッキャンらを手掛けた名プロデューサー、ジョエル・ドーン(Joel Dorn)が制作の指揮を執り、スタジオに生のストリートの熱気をそのまま封じ込めた。
1972年、セルフタイトルの1stアルバム『Black Heat』でデビュー。レイ・チャールズ・バンドで名を馳せた名サックス奏者デヴィッド・"ファットヘッド"・ニューマン(David "Fathead" Newman)がゲスト参加し、「Zimba Ku」や「Wanaoh」などパーカッションが乱れ打たれるディープ・ファンクを披露した。
1974年に発表された2ndアルバム『No Time to Burn』は、彼らの最高傑作として名高い。エスコ・クローマーの極太なドラム・ブレイクとチップ・ジョーンズのうねるベースラインが牽引するタイトル曲「No Time to Burn」は米ビルボードR&Bチャート46位を記録。さらにクラヴィネットとワウギターが呪術的なグルーヴを紡ぐ「M&M's」など、同時代に広がりつつあったディスコの商業主義に一切阿らない強烈なファンク・アンサンブルを刻印した。
1975年にはフィリップ・ギルボーのプロデュースによる3rd『Keep On Runnin'』をリリースし、一貫して硬派なファンクを貫き通した。
Black Heatの残したサウンドは、1970年代当時はアリーナ級のメガヒットには至らなかったものの、1980年代後半以降のヒップホップ黎明期およびレア・グルーヴ/アシッド・ジャズ・ムーブメントの中で劇的に再評価された。
彼らの生々しいドラム・ブレイクと重厚なベースラインは、クール・G・ラップ(Kool G Rap)、ブラック・シープ(Black Sheep)、ヘヴィ・D(Heavy D)、ジュラシック5(Jurassic 5)をはじめとする無数のヒップホップ・アーティストやプロデューサーたちにサンプリングされ、いまや70年代ファンク史を代表する至高のクラシックとして世界中のレコード・コレクターやDJから熱烈なリスペクトを集めている。