Vinyl Record Reviews
Caesar Frazier(シーザー・フレイジャー、Ceasar Frazierとも表記)は、アメリカ・インディアナ州インディアナポリス出身のソウル・ジャズ/ジャズ・ファンク・オルガン奏者、キーボード奏者だ。名器ハモンドB-3オルガンを操り、1970年代にデトロイトの名門レーベルWestbound/Eastboundから数々の名盤を残した。
活動初期には名サックス奏者ルー・ドナルドソンのツアー・バンドに参加し、のちにはマーヴィン・ゲイのバック・バンドでもキーボードを担当するなど、ジャズとソウルの第一線で確かな腕を磨いた実力派である。
Frazierのソロ活動でまず押さえておきたいのが、1972年のデビュー作『Hail Ceasar!』だ。Eastboundからのリリースで、ボブ・ポーターがプロデュース、録音は名匠ルディ・ヴァン・ゲルダーが担当した。参加メンバーにはメルヴィン・スパークス(ギター)、イドリス・ムハンマド(ドラムス)、ヒューストン・パーソン(テナーサックス)といったソウル・ジャズの腕利きが並ぶ。
続いて1975年に『'75』を発表し、1978年にはWestboundから傑作『Another Life』をリリースした。『Another Life』ではディスコ界の巨匠トム・モウルトンがミックスに関わり、時代の空気を反映した洗練されたサウンドを展開している。
近年も復帰作を発表するなど精力的に演奏活動を継続しており、70年代のオルガン・ジャズの枠を超えて現役のレジェンドとして敬愛されている。
Caesar Frazierの音楽は、ソウル・ジャズとジャズ・ファンクが交錯する熱気あふれるグルーヴが魅力だ。ハモンドB-3オルガンの太く粘りのある音色と、ファンクのビートが一体となったタイトなアンサンブルを構築している。
『Hail Ceasar!』収録のドープなジャズ・ファンク「Funk Surprise」は、ギャング・スター(Gang Starr)の「Ex Girl to the Next Girl」をはじめ数々のヒップホップでサンプリングされ、世界中のクリエイターから注目を集めた。
一方『Another Life』では、洗練されたモダン・ソウル、ブギー、メロウ・ディスコへとアプローチ。「Child of the Wind」のようにヴィブラフォンを配した爽快なナンバーも収められ、レアグルーヴやフリーソウル・シーンにおいて屈指の人気を誇る名盤として愛され続けている。