Ceasar Frazier - 75 (1975)
Ceasar Frazier『'75』
インディアナポリス出身のソウル・ジャズ/ファンク・オルガン奏者、シーザー・フレイジャー(Ceasar Frazier / Caesar Frazier)が、デトロイトの名門レーベルWestbound Records(当時20th Century Records配給)から1975年に発表した通算2作目のリーダー・アルバム。東海岸屈指の超一流セッション陣を従え、漆黒のグルーヴを凝縮した70年代ジャズ・ファンク/レア・グルーヴの金字塔である。
制作背景・エピソード
プロデュースを手掛けたのは、プレスティッジ(Prestige)やウェストバウンドで数々の名セッションを指揮した名匠ボブ・ポーター(Bob Porter)。レコーディングには当時のニューヨークを代表するトップ・スタジオ・ミュージシャンが集結した。
ドラムには“世界一のグルーヴ・マスター”バーナード・“プリティ”・パーディ(Bernard Purdie)、ベースにウィルバー・バスコム(Wilbur Bascomb)、ギターにはコーネル・デュプリー(Cornell Dupree)、デヴィッド・スピノザ(David Spinozza)、ジョン・トロペイ(John Tropea)、パーカッションにジェームズ・エムトゥーメイ(James Mtume)が参加。フレイジャーの重厚でアーシーなハモンド・オルガンやフェンダー・ローズに対し、パーディとバスコムによる強靭なリズム隊、そしてデュプリーらの切れ味鋭いカッティング・ギターが絡み合う、当時の最高峰といえるジャズ・ファンク・アンサンブルが実現した。
時代の文脈
1970年代中盤は、オルガン・ジャズがブラック・パワー・ムーヴメントやファンクの潮流と完全に共鳴し、よりヘヴィでダンサブルなグルーヴへと進化した時代。Westboundレーベル特有の泥臭くタフなファンクの質感と、東海岸ジャズ・シーンの卓越したテクニックが幸福な融合を果たした傑作として位置づけられる。
後世への影響
1990年代以降、アシッド・ジャズやヒップホップ、レア・グルーヴの再評価ムーヴメントにおいて決定的な脚光を浴びた。 特にB1「Funk It Down」の重厚で引きずるようなスロウ・ファンク・グルーヴは、ギャング・スター(Gang Starr)のDJプレミア(DJ Premier)によって名曲「Ex Girl to Next Girl」や「Speak Ya Clout」で大々的にサンプリングされたことで、ヒップホップ・クラシックの元ネタとして不滅の存在となった。さらにメロウなエレピが印象的なA3「Sweet Children」もコモン(Common)の「Real People」でサンプリングされるなど、世界中のビートメイカーやディガーから熱烈なリスペクトを集め続けている。
サウンド・聴きどころ
パーディの豪快なドラミングとパーカッションが牽引するスリリングな疾走ジャズ・ファンク「Mighty Mouse」、パーディ・シャッフルが炸裂する究極のヘヴィ・ファンク「Funk It Down」といったオリジナル曲の完成度はもちろん、カバー曲の料理法も絶品である。シールズ&クロフツのヒット曲「Summer Breeze」やスティーヴィー・ワンダーの「Living For The City」を、オルガンとエレピの深い響きで漆黒のソウル・ジャズへと鮮やかに仕立て直しており、全編を通じて捨て曲のない名盤である。
トラックリスト
- A1 Mighty Mouse 5:20
- A2 Summer Breeze 5:41
- A3 Sweet Children 5:46
- B1 Funk It Down 5:23
- B2 Living For The City 6:02
- B3 Walking On The Side 5:00