Vinyl Record Reviews
Cruisin' Gangは、1983年に始まったイタロ・ディスコのプロジェクトだ。クレジット上のメンバーは、Laura Fadinger、Sabrina Morroya、Ombretta Marsigliの3人で、いずれもボーカルとして名前が挙がっている。ジャンルはElectronic、スタイルはItalo-Discoに分類される。
このプロジェクトの仕掛け人は、プロデューサーのEnnio Tricomiで、Ennio Manuel名義でも活動していた人物だ。作品は、彼がRomano Trevisani、Vince Varicelliとともにモデナで設立したレーベル「Cruisin' Records」から発表された。
イタロ・ディスコでよく見られる制作体制のプロジェクトで、資料によっては、レコーディングのボーカルに別のシンガーが関わり、テレビ出演用に別のパフォーマーが選ばれたとも伝えられている。こうした構成は、当時のイタロ・ディスコ周辺では珍しくない形だった。
Cruisin' Gangは1983年に「My Man」「Affair A Gogo」でデビューしている。「Affair A Gogo」はイタリアのヒット・パレードで6位を記録したとされる。
1984年には「Tap Dancing」と代表曲として知られる「Chinatown」を発表し、同年のファースト・アルバム『Chinatown』をリリースした。このアルバムは、Cruisin' Recordsにとって初のLPでもあった。
その後も1986年のアルバム『America』、1988年の「Djobi Djoba」などを発表し、1990年代後半までシングルを出している。
Cruisin' Gangの音楽は、イタロ・ディスコらしいシンセ主体のダンス・サウンドを軸にしている。作品名として挙がる「Affair A Gogo」「Chinatown」「Tap Dancing」などからも、当時のディスコ・シーンで重視されたフロア向けの作りが見える。
資料上はボーカル面の扱いがやや複雑だが、少なくともクレジットでは3人の女性ボーカルが前面に出ている。イタロ・ディスコの中でも、プロデュース主導の制作とボーカル・グループ的な見せ方が重なったプロジェクトとして整理しやすい。
Cruisin' Gangは、1980年代前半のイタロ・ディスコの制作現場を知るうえで分かりやすい例だ。プロデューサー主導で作品が組み立てられ、シングルのヒットやテレビでの見せ方も含めて展開していく流れが見える。
レーベル「Cruisin' Records」から継続的に作品が出ていた点も、当時のイタリアのダンス・ミュージックの流通を確認する材料になる。シングル、アルバム、テレビ出演という複数の入口を持っていたグループとして見ると、Cruisin' Gangの位置づけがつかみやすい。