Vinyl Record Reviews
Elvis Costello & The Attractionsは、エルヴィス・コステロのバック・バンドとして1977年にロンドンで結成されたグループだ。メンバーはスティーヴ・ナイーヴ(キーボード)、ブルース・トーマス(ベース)、ピート・トーマス(ドラムス)の3人で、コステロ本名のデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナスとともに活動した。2人のトーマスに血縁関係はない。
バンドは1977年末に結成され、最初期には[ m=42825 ]のB面で登場したのち、本格的な活動は1978年の『This Year's Model』から始まった。以後、1986年まで継続し、1994年から1996年にも再びコステロと活動している。2002年にはブルース・トーマスを除く形で、エルヴィス・コステロ & The Impostersとして再編された。2003年にはロックの殿堂入りを果たしている。
3人の演奏歴を見ると、バンドの性格が少し見えやすい。最年長だったブルース・トーマスはクイヴァーやサザーランド・ブラザーズでの活動歴があり、ピート・トーマスはチリ・ウィリ&ザ・レッド・ホット・ペッパーズで録音経験があった。一方、ロック・バンドでの経験がなかったのはスティーヴ・ナイーヴだけで、彼の芸名は初期の公演でイアン・デューリーが名付けたものとされている。
この編成は、コステロの楽曲に対してかなり機能的に動いていた。ナイーヴのキーボード、ブルース・トーマスの動くベース、ピート・トーマスのタイトなドラムが、曲ごとの色をはっきり出している。
コステロとアトラクションズの本格始動は『This Year's Model』からだが、その後の主要作でも重要な役割を担っている。『Armed Forces』(1979年)、『Get Happy!!』(1980年)、『Trust』(1981年)、『Imperial Bedroom』(1982年)、『Punch the Clock』(1983年)、『Blood & Chocolate』(1986年)まで、ニュー・ウェイヴ期のコステロ作品を支え続けた。
初期作品の多くはニック・ロウがプロデュースしている。演奏面では、パンク以降の鋭いビートを土台にしながら、ナイーヴのキーボードが音の隙間を埋め、ブルースのベースが前に出る場面も多い。そこにピート・トーマスのドラミングが加わって、曲の推進力を作っている。
このバンドの面白さは、同じ編成でも曲調に合わせて役割が変わるところにある。たとえば『Get Happy!!』ではソウルへの接近がはっきりしていて、『Imperial Bedroom』ではアレンジの込み入った楽曲に対応している。単にバックを固めるだけでなく、アルバムごとの音楽性に合わせて演奏の質感を変えている。
1980年には3人だけで、ロジャー・ベシリアンのプロデュースによるアルバム『Mad About the Wrong Boy』も発表している。コステロ本体とは別に、トリオとしての動きも確認できる作品だ。
ジャンルとしてはRock、Funk / Soulにまたがり、スタイルはNew Wave、Post-Punkに分類される。実際の演奏では、ニュー・ウェイヴらしい速いテンポ感や、パンク以後の角のあるリズムが前面に出る場面が多い。その上で、ベースラインやキーボードのフレーズが、ロックだけでは収まりきらない広がりを作っている。
特に『Get Happy!!』ではソウル色が強く、『Imperial Bedroom』では構成の細かい楽曲に対応しているので、単純なロック・バンドというより、コステロの作曲意図を実演で支える柔軟なユニットとして見たほうが近い。
バンドは1986年にいったん活動を終えた。その後、1994年から1996年にかけて再びコステロと活動しているが、完全な継続には至っていない。
2002年には、ナイーヴとピート・トーマスがベースにデイヴィ・ファラガーを迎え、エルヴィス・コステロ & The Impostersとして活動を続けることになる。アトラクションズの流れはここに引き継がれた形だ。2003年のロックの殿堂入りでは、「ロック史上最高のバック・バンドのひとつ」として評価されている。
Elvis Costello & The Attractionsは、コステロの初期から中期にかけての作品を実際に形にした重要なバンドだ。ロック、ファンク、ソウル、ニュー・ウェイヴ、ポスト・パンクの要素を行き来しながら、アルバムごとに違う要求に応えてきた点が、このグループの中心にある。