Elvis Costello & The Attractions - Get Happy!! (1980)
Elvis Costello & The Attractions『Get Happy!!』(1980)
『Get Happy!!』は、Elvis Costello & The Attractionsにとって1980年の重要作であり、アトラクションズとの3作目のスタジオ・アルバムとして位置づけられる作品だ。前作までのニュー・ウェイヴ寄りの鋭さを残しながら、60年代ソウル、R&B、スカの要素を前面に出した内容で、全20曲を約1時間弱に詰め込んだ構成になっている。UK盤はF-Beatからリリースされ、タイトルどおり“ハッピー”な印象を持つ一方で、実際には緻密さと緊張感がかなり強いアルバムでもある。
作品の背景
本作が出た1980年初頭、コステロは前年の米国ツアー中の騒動で大きく評判を落としていた。その流れの中で、従来のニュー・ウェイヴ的なアプローチから距離を取り、より古いソウルやR&Bの文法へ寄せていったのがこのアルバムだ。本人は1965年から68年頃のスタックスやモータウン、ブッカー・T & ザ・MG'sのような感覚を意識していたとされる。ロンドンのEden Studiosで録音を始め、オランダのWisseloord Studiosへ移して完成したため、ジャケット裏面には「Recorded in Holland」と記されている。
プロデュースはニック・ロウ、エンジニアはロジャー・ベシリアン。F-Beatはジェイク・リヴィエラが立ち上げたレーベルで、この時期のコステロ作品の受け皿としても重要な役割を果たした。
サウンドと収録曲
全20曲という曲数は、この時代のロック・アルバムとしてもかなり多い部類だが、1曲ごとの尺は短めで、2分台前半の楽曲が中心になっている。A面とB面を通してテンポの切り替えが速く、曲間の密度が高い。ソウルやR&Bを下敷きにしながらも、演奏はかなりタイトで、アトラクションズの持つ硬質さが全編に残っている。
このアルバムで特に知られるのが、先行シングルの「I Can't Stand Up for Falling Down」だ。サム&デイヴの曲を取り上げたもので、全英4位を記録している。コステロが英国盤のスタジオ・アルバムにカバー曲を入れたのは、この作品が初めてでもある。もう1曲のカバー「I Stand Accused」も含め、単なる引用ではなく、60年代ソウルの形式を自分たちのバンドに引き寄せた作りになっている。
実際に聴くと、派手な音圧で押すタイプではなく、リズム隊の細かな動きと、スティーヴ・ナイーヴの鍵盤が曲ごとに表情を変えるのが印象に残る。短い曲が続くため、1曲ごとの輪郭がはっきりしていて、アルバム全体もかなり速いテンポで進む。ソウルの引用が多い一方で、歌い回しやアレンジの細部にはコステロらしい神経質さも見える。
ジャケットとUK盤の特徴
このUKオリジナル盤は、ジャケットの仕上げにも特徴がある。フロントはラミネート、裏面はマットで、内袋には印刷されたカードボード仕様のアートワーク付き。初回分には白黒ポスターと「20 great hits」と書かれたステッカーも付属していた。バーニー・バブルスによるジャケットは、1960年代のスタックス盤を思わせる意匠で、さらに使用感のあるリングウェアまで印刷されている。見た目からして、当時のソウル盤への目配せがはっきりしている。
この盤では、ジャケットとレーベルで曲順表示が逆になっている点が重要だ。スリーブ上ではA面とB面の表記が入れ替わっているが、正しい曲順はレーベル面に記載されたものになる。コレクター向けの情報としては、ジャケット表記だけをそのまま追うと実際の収録順とずれるので注意が必要だ。カタログ番号はカバーとインナーで「XXLP1」、ラベルでは「XX LP 1」と表記されている。
評価と位置づけ
『Get Happy!!』は、コステロのディスコグラフィーの中でも転換点として扱われることが多い。ニュー・ウェイヴの文脈にいながら、ソウルやR&Bを正面から取り込んだ点が大きく、同時代の英国ロックの中でもかなり独特な立ち位置にある。アルバムは全英2位、米Billboard 200で11位を記録し、商業的にも十分な成果を残した。批評面でも好意的で、当時から高く評価され、後年も代表作の一つとして語られている。
収録曲数の多さゆえに、曲ごとの仕上がりには振れ幅があるという見方もあるが、それでも全体としては、1960年代ソウルの形式を借りながら、80年代初頭の英国バンドが持っていた切迫感をそのまま封じ込めた作品としてまとまっている。アトラクションズの演奏、ニック・ロウのプロデュース、そしてコステロの歌い方が、同じ方向を向いた時期の記録として、かなりはっきりした輪郭を持つアルバムだ。
なお、この盤は1980年当時のUKオリジナル仕様で、後年の再発盤とはジャケットやマトリクス、付属物の条件が異なる場合がある。特に初回仕様のポスターやステッカーの有無、ジャケットの質感は、当時の盤として見ておきたい要素になる。
トラックリスト
- A1 Love For Tender 1:57
- A2 Opportunity 3:13
- A3 The Imposter 1:58
- A4 Secondary Modern 1:58
- A5 King Horse 3:01
- A6 Possession 2:04
- A7 Man Called Uncle 2:18
- A8 Clowntime Is Over 3:00
- A9 New Amsterdam 2:13
- A10 High Fidelity 2:29
- B1 I Can't Stand Up For Falling Down 2:06
- B2 Black & White World 1:56
- B3 Five Gears In Reverse 2:39
- B4 B Movie 2:05
- B5 Motel Matches 2:31
- B6 Human Touch 2:30
- B7 Beaten To The Punch 1:49
- B8 Temptation 2:34
- B9 I Stand Accused 2:22
- B10 Riot Act 3:36
動画プレイリスト
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Love For Tender
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Opportunity
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The Imposter
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Secondary Modern
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King Horse
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Possession
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Men Called Uncle
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Clowntime Is Over
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New Amsterdam
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High Fidelity
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I Can't Stand Up For Falling Down
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Black And White World
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Five Gears In Reverse
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B-Movie
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Motel Matches
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Human Touch
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Beaten To The Punch
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Temptation
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I Stand Accused
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Riot Act