Vinyl Record Reviews
Fine Young Cannibals(ファイン・ヤング・カニバルズ)は、1984年にイギリスのバーミンガムで結成されたポップ/ロック/ソウル・トリオだ。唯一無二の艶やかなファルセットを持つフロントマンのローランド・ギフト(Roland Gift / ヴォーカル)と、名門2トーン/スカ・バンドThe Beatの元リズム・セクションであるデイヴィッド・スティール(David Steele / ベース、キーボード)およびアンディ・コックス(Andy Cox / ギター)の3人で構成された。
The Beatの解散後、新たな音楽性を模索していたスティールとコックスは、Akrylykzなどで歌っていたローランド・ギフトの類まれな歌唱力に衝撃を受け、新バンドを結成した。バンド名は1960年の映画『All the Fine Young Cannibals』に由来する。
1985年に名門ロンドン・レコードからリリースされたセルフタイトルのデビュー・アルバム『Fine Young Cannibals』は、社会批判を洗練されたビートに昇華した「Johnny Come Home」や、エルヴィス・プレスリーのカバー「Suspicious Minds」がスマッシュ・ヒットを記録。モータウンのグルーヴとポストパンク以降のニュー・ウェイヴ/シンセポップの質感を融合させたモダンなブルー・アイド・ソウルとして一躍脚光を浴びた。
1989年に発表されたセカンド・アルバム『The Raw & the Cooked(料理と料理されたもの)』は、全米および全英アルバム・チャートで1位を獲得するなど世界的なメガヒットを記録した。プリンスの右腕として知られるエンジニア/プロデューサーのデヴィッド・Zが制作に関わったリード・シングル「She Drives Me Crazy」は、画期的なスラップ・スネアの音像とギフトの突き抜けるファルセットが完璧に噛み合い、全米ビルボードHot 100で1位を獲得した。
さらに、アップテンポなノーザン・ソウル調の「Good Thing」も全米1位を記録。1990年のブリット・アワードでは「最優秀英国グループ賞」および「最優秀英国アルバム賞」の主要2部門を受賞し、1980年代末のUKポップ・シーンの頂点へと上り詰めた。
Fine Young Cannibalsのサウンドの核心は、ソウル、モータウン、パンク、エレクトロ・ポップを極限までシンプルかつタイトに削ぎ落としたアンサンブルにある。無駄のないミニマルなドラム・ビートとギターのカッティング、そしてそれらを背負ってエモーショナルに舞い上がるローランド・ギフトの歌唱が最大の武器であった。
わずか2枚のスタジオ・アルバムを残して1990年代初頭に活動を休止したが、彼らが残した研ぎ澄まされた楽曲群は、1980年代後半のポップ・ミュージックが達成した最高峰の芸術的・商業的成果として今なお愛され続けている。