Fjodor - Saint Anthony's Fire (2014)
Fjodor『Saint Anthony's Fire』について
クロアチア・ザグレブのインストゥルメンタル・サイケ/スペース系バンド、Fjodorによる『Saint Anthony's Fire』は、2013年9月18日に配信が始まり、2014年4月7日にLPとして出た作品。Bandcampでは「46分の概念的なインストゥルメンタル・プログレッシブ・ロック」と説明されている。クレジット上の編成は、Ivan Beuc(g)、Mirko Golubić(b/baritone g)、Aljoša Reljić(ds)、Dušan Žica(synths)の4人。録音とミックスはFilip Filipi、マスタリングはHeba Kadryが担当している。
制作背景・エピソード
Bandcampの記述では、本作の制作陣と役割が比較的はっきりしている。ギター、ベース/バリトンギター、ドラム、シンセという分担で、演奏面は4人編成。音作りの仕上げとして、録音・ミックスをFilip Filipi、マスタリングをHeba Kadryが担った。作品紹介では、バンドを「バルカン/オリエンタルのルーツ音楽、クラウトロック、ジャズ、電子音響、現代音楽、クラシック」の影響下にあるザグレブのインスト・サイケ・スペース・ノイズ・バンドとしている。
レコードとしての情報では、Cosmic EyeのEYE 009、ブルー・スプラッター入り200枚限定盤。オリジナルは2014年のリリースで、配信開始からLP化までの流れが確認できる。
時代の文脈
『Saint Anthony's Fire』はFjodorにとって3作目で、前作『Riding Through the Black Hole』(2011)から続く作品。2014年当時の紹介では、クロアチア/ザグレブのシーンを「space culture」の小さな拠点として見る文脈があり、FjodorはSnoviやSeven That Spellsと並べて語られていた。
また、レビューや紹介文では、Pink Floyd、Tangerine Dream、Hawkwind、Ozric Tentacles、Gila、Eloyといった英独系のスペースロック/プログレの系譜に触れられている。そうした比較の中で、本作は長尺のインストゥルメンタル作品として整理されている。Bandcampのコメント欄でも「Two twenty-five minute tracks of evolving progressive, spacey rock」「huge leap in song and sonic structure」と受け止められていた。
聴きどころとして挙げられている点
Aural Innovationsのレビューでは、冒頭がジャジーなドラムとコズミックなスペース・プログレ・シンセで始まり、その後にヘヴィなギター・ジャム、さらにアッシュ・ラ・テンペルを思わせる宇宙ジャズ的な展開へ進むと評されている。ギリシャ語圏のレビューでは、Pink Floyd、Hawkwind、クラウトロックの系譜を十分に咀嚼した「インストゥルメンタル・スペース・プログレの神話」と紹介された。
別のレビューでは、約46分の1曲構成であること、強いギター・リフとスペイシーなシンセが交互に現れる点が聴きどころとして挙げられている。チャート実績は確認できず、評価面では専門レビューとBandcamp上のコメントが主な手がかりになっている。
後世への影響
確認できた範囲では、カバーやサンプリング、直接的な再評価の広がりは見当たらない。ただ、Bandcampではコレクション登録が多く、熱心なリスナー層に継続して参照されている様子はある。現時点で追えるのは、2014年の時点でまとまった形で提示された、Fjodorの長尺インスト作品としての位置づけまで。
トラックリスト
- A Saint Anthony's Fire (Part I) 24:27
- B Saint Anthony's Fire (Part II) 21:28