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Hatfield And The Northは、英国のカンタベリー・シーンから生まれたプログレッシヴ・ロック/ジャズ・ロック・バンドだ。ロック、ジャズ、ジャズ・フュージョン、サイケデリック・ロックの要素を行き来する音楽性で知られている。活動開始は1972年11月で、1975年にいったん解散したあと、1990年に一度再結成し、さらに2005年から2006年にも再び活動している。
バンド名は、ロンドンから北へ向かうM1号線の最初の道路標識「Hatfield and the North」に由来する。結成時はカンタベリー周辺で活動していたミュージシャンが集まり、短期間のメンバー交代を経て、リチャード・シンクレア、フィル・ミラー、ピップ・パイル、デイヴ・スチュワートの4人が中心メンバーとして固まった。
初期には、フロントルームでの演奏に限って活動していた時期もあり、1972年11月にはフォークストンのLees Cliff Hallで初の公開演奏を行っている。テレビ初出演は1972年12月のパリでの演奏だった。
中心になったのは、以下のミュージシャンたちだ。
関連情報として、Alex Maguire、David Sinclairも名前が挙がる。カンタベリー・シーンでは、Caravan、Matching Mole、Delivery、Egg、Gongなど周辺バンドとの往来が多く、Hatfield And The Northもその流れの中で形づくられた。
レーベルはVirgin Recordsで、1974年に1stアルバム『Hatfield and the North』、1975年に2ndアルバム『The Rotters' Club』を発表している。オリジナル活動期は短く、1975年に解散した。その後、1990年にTVライヴで再結成し、2005年から2006年にかけても再び活動した。
解散後、デイヴ・スチュワートとフィル・ミラーは、アラン・ゴーウェンらとともにNational Healthを結成している。カンタベリー系の演奏家が別のバンドへ移動しながら活動を続けた流れの中で、このバンドも位置づけられている。
Hatfield And The Northの特徴は、変拍子を使った曲構成と、ジャズ寄りのコード感を含むアンサンブルにある。そこに英国的なメロディや、少し外したユーモアのある展開が入る。楽曲は複雑だが、演奏のまとまりが強く、各パートの役割がはっきりしている。
演奏面では、リチャード・シンクレアのバリトン・ヴォイスとベースライン、デイヴ・スチュワートのハモンド・オルガンやエレピ、フィル・ミラーのジャズ寄りのギター、ピップ・パイルの細かいドラミングが軸になる。女性コーラス・トリオ「The Northettes」を起用していた点も、音の厚みを作る要素になっている。
1stアルバム『Hatfield and the North』では、バンドの基本形がそのまま確認できる。2ndアルバム『The Rotters' Club』では、20分に及ぶ組曲「Mumps」が収録されている。この曲は、カンタベリー・ロックを語る際によく触れられる作品のひとつだ。
また、『The Rotters' Club』というタイトルは、後年ジョナサン・コーの小説の題名にも使われている。
Hatfield And The Northは、カンタベリー・シーンの中でも、演奏力と構成の細かさが目立つグループとして扱われている。プログレッシヴ・ロックの枠に入りながら、ジャズ・ロックの要素を強く持ち、さらにサイケデリック・ロックの感触も含んでいる。そうした要素の組み合わせが、同時代の英国ロックの中でも独特な立ち位置を作っている。
短い活動期間にもかかわらず、2枚のアルバムと再結成時の活動によって、今もカンタベリー・ミュージックを語るときに外せない存在として扱われている。