Vinyl Record Reviews
Luiz Bonfáは、1922年10月17日にブラジル・リオデジャネイロで生まれ、2001年1月12日に同地で亡くなったギタリスト、作曲家だ。ジャズ、ラテン、ファンク/ソウルの文脈でも語られることがあるが、活動の中心にはブラジル音楽、とくにボサノヴァとサンバがある。クラシック・ギターの技術を土台に、サンバのリズムとジャズの感覚を組み合わせた演奏で知られる。
幼少期からウルグアイ出身のクラシック・ギタリスト、イサイアス・サヴィオに学び、クラシック・ギターの奏法を身につけた。その後、1940年代後半からリオデジャネイロのラジオ局や録音現場で活動し、ディック・ファルネイやキダス・ダ・マンゲイラらと共演している。
この時期から、すでにギターの細かな運指とリズムの組み立てに特徴が出ていた。後年の録音を聴くと、音数は多くなくても、コードの置き方や右手の動きで曲全体の流れを作っているのがわかる。
Luiz Bonfáの名前を世界に広げた作品として、1959年の映画『黒いオルフェ(Orfeu Negro)』がある。ここで書いた「Manhã de Carnaval(カーニバルの朝)」と「Samba de Orfeu(オルフェのサンバ)」は、映画音楽としてだけでなく、ジャズ・スタンダードとしても広く演奏されるようになった。
「Manhã de Carnaval」は英語詞の「A Day in the Life of a Fool」としても知られ、さまざまな歌手や演奏家に取り上げられている。映画『黒いオルフェ』自体も国際的に高く評価され、ボサノヴァが世界に広がるきっかけのひとつになった。
1962年のカーネギー・ホールでのボサノヴァ公演にも参加し、その後はアメリカでも活動の幅を広げた。スタン・ゲッツ、クインシー・ジョーンズ、トニー・ベネット、フランク・シナトラ、ジョアン・ジルベルト、ジョージ・ベンソン、ロン・カーター、スタンリー・クラーク、アイアート・モレイラ、レイ・バレットなど、多くのミュージシャンと共演している。
録音面でも、Capitol、Epic、Atlantic、Verve、RCA、Ranwood、Cherry Pie、Chesky Records、Paddle Wheel、Milestone Recordsなどのレーベルから、リーダー作を50枚以上残している。プロデューサーのクリード・テイラー、ボビー・スコット、アルナルド・デソウトゥーロとの仕事も多い。
派手な技巧を前面に出すタイプではなく、指の動きと和音の流れで曲を進めるスタイルだ。メロディははっきりしていて、ギター1本でも曲の骨格が見えやすい。
Bonfáは映画音楽も多く手がけており、23本の映画でサウンドトラックを書いている。『The Gentle Rain』『Os Cafajestes』『Copacabana Palace』『Carnival of Crime』『Pour Un Amour Lontain』『Prisoner of Rio』などの作品がある。
映画音楽では、主題の旋律をギターに置き換えるだけでなく、場面に合わせてリズムや和声を調整している。こうした仕事の積み重ねが、彼の作曲家としての評価につながっている。
Luiz Bonfáの楽曲は、多くの演奏家にカバーされている。エルヴィス・プレスリー、サラ・ヴォーン、アストラッド・ジルベルト、オスカー・ピーターソン、ジミー・スミス、ジョー・パス、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシア、ラリー・コリエル、アル・ディ・メオラ、ダイアナ・クラール、パット・メセニーなどの名前が挙がる。
また、The Pharcyde、Planet Hemp、Marcelo D2、Smoke Cityなどによってサンプリングされた例もある。とくにThe Pharcydeの「Runnin'」で使われた「Flor de Liza」は、ヒップホップの文脈でもBonfáの楽曲が参照されている例としてよく知られている。
まずは「Manhã de Carnaval」から入ると、Bonfáの作曲とギターの両方の特徴がつかみやすい。そこから映画音楽やジャズ寄りの録音に進むと、活動の幅が見えてくる。